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ないものを探すのではなく、あるもので今をどう楽しむか考える

プロフィール:新卒で飲料メーカーの事務職を経て3年後にリクルートエイブリック(現:リクルート)へ転職。育児休暇を利用し夫の赴任先ドイツへ帯同し、復帰のタイミングで子供と一時帰国。同社退職後、ドイツへ戻り、本帰国後はITベンチャーでフリーランスを経てリクルートへ出戻り。社内公募で1年半前よりキャリア関連のグループ会社へ出向。現在に至る。

ないものを探すのではなく、あるもので今をどう楽しむか考える

日本ペプシコーラ販売(株)に新卒で入社し、(株)リクルートエイブリックに転職。その後、結婚出産を経てドイツに帯同した高橋舞さん。帯同経験で得た多くの学びを教えてくださいました。

仕事で得られる大きなやりがい

―はじめに、海外帯同前のキャリアについて教えていただけますか?

大学卒業後、日本ペプシコーラ販売(株)に入社し、3年後転職しました。その間に結婚・出産をしましたが、ひどいときは睡眠時間が30分しかない時期もあるほど働いていました。

―ハードなお仕事だったと思いますが、辞めたいと思ったことはなかったのですか?

辛い時はありました。リーマンショックの影響で早期退職を募る話が出たとき、上司との面談で、辞めますと言ったこともあります。しかし、そう言った瞬間「このままでは負け戦になる、負けて辞めるのはやっぱり嫌だ」と思い「やはり辞めるのを辞めます。」と伝え、続けました(笑)また、自分がした仕事で人に喜びを与えられたり、結果を着実に出せたりしたときは、非常にやりがいを感じていました。

苦しさより、どう楽しむか考える

―お仕事を非常に楽しんでいたように思いますが、いつ帯同を決めましたか?

夫は、結婚してすぐドイツ駐在を始めましたが、私は2人目の子の育児休暇を利用して初めてドイツに行きました。しかし、仕事をやり切らないで辞めるのは嫌だったため、育児休暇が終わる頃帰国し、退職日を決めて復帰しました。退職後、2人目が生まれた半年後から本格的に帯同しました。

―帯同への不安はありましたか?

はい。キャリアが途絶えるのは嫌でしたし、働くママたちの転職の大変さを仕事で見ていたため、リスクを冒したくないと思っていました。しかし、海外生活経験がある女性上司に「心配していると何もできないから、チャンスだと思って行きなよ。必要とされる人であれば帰国後も大丈夫。」と言って頂き、決心できました。

―仕事を辞めて帯同して、心境はいかがでしたか?

はじめは、収入がなくなり自分のお金で何もできないことや、ドイツ語が読めず1人では何もできないことにストレスを感じました。あまりにも日本の状況と乖離しており「日本であればこうだったのに」と比較して落ち込んだり、憤りを感じたりしていました。

しかし、あるとき夫に「無いものを探すのではなく、それが今の全てという発想に変えれば良いんじゃない?」と言われて以来、運転を始めて子どもの送迎をするなど、色々なことに挑戦できるようになり、切り替えられました。1人では乗り越えられないことも、夫がいたからこそ乗り越えられた帯同経験でした。

―帯同経験から学んだことが多そうですね。

はい。良い意味で諦めが早くなりました。あの時はこうだったとか、子供がいない時はこうだったという比較がなくなりました。今を生きているからその未来をどうするかというところに楽しみを得た方が人生もったいなくないなと、吹っ切れました。キャリアに関しても、自分みたいな人を雇ってくれる会社はあるのかと考えていたけど、今は、仕事は自分が選ばないと面白くないと気づきました。今やりたい仕事が存在しなかったら自分で作れば良いし、言語化されていなければ誰かと話すことで見つかるかもしれない。あるものを探しにいくのではなく、ないものについても考えるようになりました。

人脈形成_キャリアづくりに大活躍

―帰国後のキャリアについて教えてください。

せっかく何もない時期だから子どもとの時間を楽しもうと思い、帰国直後は働きませんでした。しかし、自分の成長が止まり、世の中に置いていかれている感じがして、仕事を探し始めました。そのとき、帰国について投稿したFacebookに反応を頂き、ITスタートアップ企業のお仕事のお話を頂き、そこで働いた後リクルートに出戻りしました。

実はこれには裏話があります。帯同前相談した女性上司に「人脈だけ作っておきなさい」と言われ、帯同前に昔の人脈も全て当たって「今からドイツに行くため、帰ってきたら仕事を紹介して欲しい」と言ってまわりました。これはおすすめです!!!

―今後のキャリアについて教えてください。

まずは今のお仕事で着実に成果を出して、将来的にはいじめを受けたり不登校になったりした子どもたちの居場所となるフリースクールを作りたいと思っています。これは、帯同前からずっとやりたかったことで、駐妻で孤独感を味わった経験やお仕事で学ばせていただいていること、全てが生きてくると思います。

―最後に、駐妻の皆さんに女性に伝えたいことはありますか?

どうにかなるので絶対海外に行ってほしいです。そして、海外では今の状況を嘆くのではなく、どうしたら楽しめるかという発想転換をしないと苦しくなると思います。ぜひ、今を楽しんでください。もちろん発想転換は難しいですが、その経験が次のステップにあがるために大事だと思います。あとは、キャリアの観点では、人脈を作ってから海外にいくことがおすすめです!

学生ライター感想:

1つ1つの経験から学んだことを次に生かしている様子が印象的です。お仕事でのご苦労、駐妻経験などの困難があったとは思えないほど非常に明るく前向きな方で、お話しているだけでも非常に勇気付けられました。

取材・文:渡辺璃香

慶應義塾大学大学院社会学研究科/修士1年

校正:山口友梨子

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