INTERVIEW

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プロフィール:早稲田大学を現代心理学専攻し、卒業。その後、アメリカ・NYの音楽大学ニュースクール大学にてジャズやミュージカルを学び、卒業。カーネギーホールやバードランドなど数々の有名コンサートホールや劇場において、グラミー賞、トニー賞受賞歌手達と共演。雑誌「25ans」などで執筆。一歳半の息子をアメリカで出産。

葛藤の先に自分で選んだキャリアを

ニューヨークの音楽大学を卒業後、ワークショップ講師やアーティスト、プロデューサーとして活躍される清野さん。葛藤とそれに伴う価値観についてお聞きしました。

“いろんな美しさ”があることに救われた

ー大学時代のお話をお伺いしてもいいですか。

高校生の頃から音楽の道に進みたいと考えていたのですが、父との約束で大学に進学しました。しかしそこで間違った努力をしてしまい、摂食障害になってしまいました。歌うどころか話すこともままならない状態が半年ほど続いてしまって。そのときに改めて自分は何がしたいのか考え「5キロ太ってもいいからもう一度歌いたい。」とリハビリに専念しました。

ーその後の進路はどのように決めたのですか。

就職や休学などさまざまな選択肢がありましたが、ニューヨークの音楽大学に進学を決めました。ずっとやりたいと思っていた舞台に出られなかったり、先にデビューした友人をみたりするのが苦しく、違う世界に出たいという気持ちが大きかったです。

ー実際に行ってみてどうでしたか。

いろんな声、見た目の人がいて、いろんな美しさがある、ということに救われました。摂食障害になってしまった原因も自分の中の綺麗という像に無理やり合わせてしまっていたことが大きかったので、多様な価値観を知れたことは今の自分の原点になっています。ニューヨークを好きになった理由のひとつでもありますね。

心のよりどころを複数もっておく

ー卒業後はどうされましたか。

ニューヨークでオーディションを受けつつ、テレビの制作会社で勤務していました。そこで夫との結婚を決め、配偶者ビザを取るために一度日本に帰国しました。2年後に戻ることは決まっていたのですが、アメリカに永住することには不安がありました。

ーその不安とはどのように向き合っていったのですか。

自分にとって不安なことは「帰国したくてもできない」という状況だと考えました。子どもは現地で学校に、旦那は現地で働いているのでそれぞれの居場所があるけど、自分だけ居場所がないと感じてらっしゃる方のお話も伺っていたからです。そうならないためにオンラインでいろんな方とつながり日本とのコネクションをつくるようにしています。日本に帰りたかったら帰れるけど自分が好きでここにいる、という意識でいたいと思っています。

ーアメリカに戻ってからはどのようなお仕事をされていましたか。

永住権を持ったことで採用してくれる会社が徐々に増え、日系企業やアメリカの会社など複数の会社で働いていました。中でもカーネギーホールでやっているコーラスの仕事は自分もお客さんとして見に行く程、大好きなコンサートで、リハーサルも楽しくニューヨークに来てよかったと思います。

ーさまざまなお仕事にチャレンジされる清野さんの原動力はどこにあるのでしょうか。

心のよりどころを複数持っておきたいという思いがあります。家族に全部捧げたのに、とか歌に全てをかけたのに、とか、摂食障害になったときはあるディレクターの方に見られたくて時間をかけてそれが実らなかったということもあったので。期待して待っていたのに無駄にした、とならないように、これがダメでも今はこっちをやってというように居場所を複数作っています。

「自分が選んでやっている」気持ちを大切に

ーワークショップを複数開催されているとのことでしたが、詳しくお聞きしてもいいですか。

過去に開催したのはミスユニバースやアーティストに向けたものなどがあります。4月から始まるのはママパパに向けたもので、「2択に縛られていないか」を考えていくワークショップです。

結婚するしない、出産するしないというように物事を判断する際、白黒つけてしまいがちですが、グレーゾーンをもっと楽しんで子育ての前に自分育てをしませんか、というものです。

ーこれからのキャリアやライフプランはありますか。

「自分で決めてやっている」という意識をもち続けたいです。ワークショップや講師の仕事は頼まれて引き受けたことですが、あくまでも自分がやりたくてやっているという仕事の選び方をしていきたいです。また、本当に好きなこと、やりたいこととして人生をかけて目標にしていることがあります。それは音楽のイベントを主催したりコンサートに出演することで、声がかかるのを待つのではなく、自分で自分の思いを発信することです。

ー駐妻の方にメッセージを頂いてもいいですか。

「する、しない」の2択になりがちですが、選択肢はもっとたくさんあるのではないでしょうか。また、気持ちは変わっていくものなので、自分主体で悔いのない選択ができるといいなと思っています。そのためにある程度経済力や健康も大切で、そういった小さな目標をつくりながらやっていけるといいのかなと。私はそれで人生が好転したので、1つの参考にしてもらえればと思います。

学生ライター感想:

葛藤の末築いてきた清野さんの価値観や強さを垣間見ることができたように感じています。人に委ねるのでなく自分で決めることを意識していきたいです。

取材・執筆:村山彩

 筑波大学大学院システム情報工学研究群 修士2年(取材当時)

校正:中山斉奈

文責:三浦梓

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