INTERVIEW

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サムネイル(堀江さん)

プロフィール:民放キー局にて、15年以上にわたりアメリカ政治や国際情勢についての取材を行ってきた。2022年からはタンザニアに移住しフリーランスとして活動。SNSや日本メディアを通じて、アフリカの情報や見解を独自の視点から発信中。出版書籍『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法 Kindle版』。

自ら切り開いてきた人生。支えたのは強い好奇心

現在タンザニアにてフリーランスとして活動をしている堀江さん。強い好奇心を持ち、果敢に挑戦を重ねてきた人生。タンザニアにて経験した価値観の変化や、好奇心の大事さに加えて、二児の母としての生活についてお話をお伺いしました。

魅力ある海外生活。タンザニアってアフリカのあの国?

ータンザニアにきたきっかけを教えてください。

タンザニアには2022年に夫の海外赴任についてきました。振り返ると、高校から海外に興味があり留学したアメリカの大学でジャーナリズムの勉強や世界中の留学生たちと国際情勢などを英語で話し、海外に行きたい熱がが高まりました。同時に報道機関で働きたいという思いも芽生えました。

大学卒業後は輸出関係のお仕事をしたのですがアメリカでジャーナリズムを勉強したいという夢が諦められなくて。お金がある程度溜まったタイミングで、会社を辞めアメリカの大学院へ留学に行きました。ジャーナリズムを専攻して修士号を取得後、日本のテレビ局のニューヨーク支局に就職しました。最初の1年はニューヨーク支局。その後、ワシントンDC支局で15年。アメリカの政治を日本の人たちにわかりやすく伝えるためのニュース制作や取材をしていました。夫の海外転勤のタイミングで2年前に仕事を辞めワシントンDCからタンザニアに引っ越して今に至ります。

ー旦那さんの海外赴任とはいえ、不安はなかったですか?

幼い頃から海外に興味がありました。そのため、夫のタンザニア赴任が決まった時はアフリカなので不安もありましたが、楽しみの方が大きかったですね。

タンザニア移住時、子どもたちは2歳と5歳。アフリカでの生活は、子どもたちにとって当たり前が当たり前ではない環境です。靴がなく裸足で遊んでいる子や屋根のない家に住んでいる子を見る機会に、自分がどれだけ恵まれているか、人として深みのある人間になる要素につながればと願っています。

ータンザニアに来てみて驚いたことはありましたか?

正直、アフリカといえば、「危険で貧しくて不便な国」というイメージでした。

しかし、タンザニアに来てみると、驚くほど治安が良く快適で、人々も温厚でした。遠慮の文化や人間関係を大切にしたり、相手の体裁を気にするなど日本人との共通点もありますね。カルチャーショックもありますが、、それが自己成長に繋がる良い経験になっています。

タンザニアの生活は好奇心から生まれるもの。

ーそのワクワク感ってどうしたら芽生えるのですか。

好奇心を持つことかと思います。アフリカに住む外国人を見ると「異国の地で生活を楽しんでいる人」と、「『自分の国に帰りたい』と不便さに我慢できない人」に分かれます。両者の違いは「好奇心があるかないか」ではないでしょうか。「なんでこの人たちはこういうことをするんだろう」とか、「なんでこの国ではこういうことが起きるんだろう」とか、考えると新しい発見があり、自分自身の成長にもなります。異文化に対してオープンマインドでいることや、なぜかと疑問を持つことが重要だと思います。

ータンザニアでは差別だったり嫌がらせだったり、残念な出来事はなかったんですか?

アメリカにいるとアジア人差別を感じることもありましたが、アフリカでは差別を感じたことは今のところありません。

むしろ、アフリカではコミュニティ全体で子どもを育てる文化が根付いているんです。警備員のおじさんも笑顔で子どもに話しかけてくれたり、子どもが物を拾っていると、「尖った物だから怪我をしないようにね」と声をかけてくれます。そのため、アフリカは外国人として部外者に感じるよりも、一緒に育てようという優しさを感じますね。子どもたちは、挨拶が当たり前のタンザニアの文化で見守られながら育っています。

ータンザニアで価値観が変わったような出来事はありますか。

テレビで貧しい村の人たちが1日1食しか食べられませんという番組を見ていた時だったら、アフリカ大変だよねーで終わるんですよね。しかし、スワヒリ語の先生をしている友達が仕事が減り、1日1食しか食べれない頃があったと聞くと自分がどれだけ恵まれた環境にいるのかまざまざと見せつけられました。

あとは、多くのタンザニア人が泳げないことを知らずに、知り合いの子どもに水着のプレゼントをしてしまった経験があります。学校にプールがなく、水泳の授業がないため、私立に通うお金持ちのタンザニア人でない限りは泳げないことを知りませんでした。

タンザニアにきてからは驚きばかりでした。しかし、それは傷つくカルチャーショックよりは、私たちがどれだけ恵まれているかを体験するカルチャーショックが多いです。「当たり前のことに感謝する、せざるを得ない」と感じています。

ーとても楽しそうに暮らしているのが伝わります。全然違う土地に行ったときに、ここが自分の居場所って思えるようになるには、何が必要ですか。

「好奇心」が一番必要なんじゃないかなと思います。

私はここが自分の居場所だと思える場所があるんです。それは、週2回のスワヒリ語の授業で先生と落ち合うレストランです。レストランの人たちが「今日もレッスンだね」「息子さんは今日も元気に学校に行ってる?」「あなたの先生はまだ来てないよー、そこに座っていれば?」と気さくに話しかけてくれます。スワヒリ語の授業だけではなくここにくるとできるタンザニア人たちとの会話をしに、毎回行くのが楽しみなんです。2年前は知らない人でしたが、「私の居場所はいつもここにある」、そういう空間がタンザニアにあるんです。

自分の居場所を見つけるためには好奇心に加えて今まで持っていた固定概念を変えるしなやかさ(フレキシビリティ)も必要だと思います。日本では当たり前の時間通りの行動が、こちらでは通用せず、なんで時間に遅れるんだろうと思うとイライラしちゃうと思うんですよね。時間の流れが違うタンザニアだし、アフリカだしと、しなやかなマインドを持つことで楽しい経験を積み重ねることにつながりました。

ー自分で作っていくよりは、周りの人から気付かされるという感覚ですか。

自分で新しい場所や環境を作り上げることは難しいですが、好奇心を持って行動すると自然と心地の良い場所が見つかるんです。興味を持ったら質問したり、面白そうだったら実行するなど、私は好奇心に従って行動し、結果的に自分の理想のライフスタイルに近づくことができたと思うんですよね。

駐在妻としての生活は他の人には不便そうに見えているかもしれませんが、私にとっては夢のライフスタイルです。こうなりたいなというイメージを持ちながら好奇心を持ち行動していくと、自分自身の望むライフスタイルに少しずつシフトしていくと思います。

ー堀江さんの好奇心ってどうしたら芽生えるんですか?

好奇心は誰にでもあると思うんです。

私の場合は、小学生の時にアメリカに住むいとこが日本に遊びに来て、アメリカらしいお菓子や香水の匂いが強い雑誌など、「これぞアメリカ!」というお土産をもらい、アメリカはどういう国なんだろう、もっと知りたいなと思ったのがきっかけでした。

しかし、好奇心があっても、進むことに恐れや不安を感じたり、失敗したり、傷ついたりすると好奇心に蓋をしてしまいます.失敗は「成功に向かうための単なる石ころ」なので、興味を持ったらチャレンジすることが大事です。好奇心に蓋をしてコントロールするのは非常にもったいないですし、好奇心自体は人間の本能で誰もがもともと持っているものだと思います。

ーでは、堀江さんが大切にしていきたいと思うのは、日々の感謝の気持ちを持つことを忘れない気持ちですか。

「タンザニアならではの身近な自然を楽しむこと」と、「子どもとの時間を大切にすること」です。タンザニアにくる前は、仕事と育児で忙しい生活をしていたので、自然を意識することがあまりなかったんです。ここに来てから、自然との触れ合いが日常的になりました。特に、雨の音が心地良いですね。以前は、雨が降ると服は濡れるし荷物は増えるしでイライラしていたんですが、今は雨の音を聞くと心が落ち着くんです。

もうひとつ大切にしたい「子どもとの時間」ですが、ここにいられる時間も限られているので仕事を調整し、子どもと近くのビーチに行ったり、凧あげに行くなど今の子供との時間を優先するようにしています。タンザニアでの貴重な経験を最大限に楽しみたいので、今は仕事よりも子どもとの時間を大切にしています。

タンザニアで見つけたもの。大切にすべきは、しなやかなマインドの力。

ー堀江さんが作りたい未来はどんな未来ですか。

私が取り組みたいことは、日本人女性をもっと応援すること。アメリカにいた時、アメリカ人の女性はみんな自分のやりたいことをして強く生きているなと感じたんです。家事育児が女性の仕事という考えがなく、男性と平等に分担したり、自立している女性が多かった印象です。その姿に刺激を受け、日本でも同じように女性ももっと自由な生き方ができるはずだと思っています。

タンザニアにきてみると、女性の社会的地位は日本に比べて低いですが、家事育児をお手伝いさんに頼む文化が根づいています。日本の女性が生きやすく、もっと幸せになるためには、このお手伝いさん文化もヒントになると思います。女性が自分のやりたいことをもっと追求できるようになればいいなと思いました。私は、日本の外からそのメッセージを発信し、日本の女性がさらに幸せに生きられるようにしたいです。

ー応援して行く中で壁は感じますか。

これまでは、テレビ局で取材し映像にして、それが地上波になると大きな影響力がありましたが、、個人で活動する立場になり、伝えたいメッセージを、日本にどういう方法で伝えるのが最善なのか考えています。

ー最後に、伝えたいメッセージを教えてください。

「失敗を恐れずに、興味があることには挑戦しよう」

最近読んだ本に、人は、硬直したマインドかしなやかなマインドのどちらか2パターンがあり、硬直したマインドの人は「もうだめだ、おわりだ」とあきらめてしまうんですが、しなやかなマインドを持つ人は、失敗を乗り越えて、そこからさらに考えて学んで、次のステップに行くと書いてありました失敗はただの石ころに過ぎない、通り過ぎる石ころに過ぎないので、これからの私たちに必要なのはこのしなやかなマインドセットだと思います。

また、海外で実際に活躍する女性をみることが大切だと思います。女性はこうあるべきとか、あなたは女の子なんだから!とか、日本でもそういった固定観念が少しずつ外れていくためにも。自分が女性だからという社会の期待に捉われず、海外の女性の生き方を、本を読むでもYouTubeを見るでもなんでもいいんですが、もっと知れたら、世界観が変わると思います。

学生ライター感想:

お金も時間も必要なものではあるけれど、幸せな暮らしに必要なものは、自分の好奇心に素直になること。今という時間は二度とは帰ってこないからこそ、失敗や他人からの評価を気にしすぎずに、自分の”やってみたい!”を大切にしたい。

取材・執筆:高校生ライター

校正:三浦 梓(駐妻キャリアnet)

文責:駐妻キャリアnet

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