INTERVIEW

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プロフィール:津田塾大学卒業後、金融大手の総合職として、営業、人事、海外駐在(タイ)、商品企画を経験。海外駐在中に現夫(カナダ人)と出会う。駐在終了後は家族を連れて日本に帰国。その3年後に夫の仕事がタイで決まった為、14年間のキャリアを捨て、タイへの帯同を決断。現在は女性のキャリア・ライフ相談を仕事としている。

駐妻期間を人生のターニングポイントに

14年勤めた金融総合職のキャリアを捨て駐妻としてタイへ。自分と家族の幸せを求め、ヌーンさんが努力されてきたことやその背景についてお聞きしました。

家族の幸せを求めタイへ 

ー帯同前はどのようなキャリアを歩まれていたのですか。

津田塾大学を卒業後、新卒で金融大手の会社に入り14年間勤務していました。社内では営業や人事などさまざまな部署を転々とし、大きなプロジェクトに携わる機会や社内の制度を使いアメリカに1年留学したこともあります。入社8年目のときにタイへ海外駐在員として派遣され、そこで現在の夫(カナダ人)に出会い結婚しました。4年間の駐在が終わるタイミングで妊娠し、産休・育休期間を経て帰国。その後、本社の内勤部門で仕事復帰しましたが、3年働いた後、会社を辞めて駐妻としてタイに来ました。

ーどのように帯同を決めたのですか?

私自身の駐在が終わり、日本に本帰国するときに、夫は仕事を辞めてついて来てくれたんですよね。つまりは夫が日本で「駐夫」になり私のキャリアを支えてくれました。そして今度は夫がタイで仕事をしたいということで、夫のキャリアを優先して考えることにしました。お互いにキャリアの譲り合いをしている感覚です。

ー会社を辞めることに抵抗感はなかったのですか?

そうですね。会社では順調なキャリアを歩み、社内から期待もされていたと思います。でも心のどこかで、会社から用意されたレールを歩んでいくことに対して、私の人生これでいいのか、という葛藤があり、仕事を楽しめていなかったんですよね。その理由の1つに「家族を転勤に付き合わせてしまうこと」「自分がやりたい仕事を選べないこと」がありました。

順風満帆なキャリアを捨てることには抵抗がありましたが、悩んだ末、家族の幸せを優先し、タイに戻ろうという決断に至りました。いま考えれば、夫は日本ではアルバイト程度の仕事で、友達もおらず孤独を感じていたのだと分かります。特に国際結婚の私たちは2人が完全にハッピーな状況を作るのは難しいので、夫婦どちらかが我慢してしまう状況が1番良くないと思っています。タイは私も大好きな国でしたので、タイに移住することにはそこまで抵抗はありませんでした。

また国際結婚をした頃からいつか、会社員という働き方を変えなきゃいけないかもしれないということが頭にありました。会社から放り出されても、自分のキャリアを柔軟に考え、稼げる力を身につけられるようにとMBAに挑戦しました。働きながらでも取得が可能な、UMASSというアメリカの大学(オンラインMBA)を選びました。

自分を知り自分を解放した時間

ー帯同中はどのように過ごされていたのですか。

帯同中はサバティカル休暇として、今までの人生の振り返りや今後やりたいこと、第二のキャリアライフを考えようと決めました。会社員を辞めて無職・無収入、肩書きも名刺もない鎧を脱ぎ捨てた裸の私の状態になり、アイデンティティを改めて確認することになりました。

自分を見つめ直していく作業を丁寧にすることで、自分の考え方の癖や性格が分かるようになり、下がりつつあった自己肯定感もとり戻すことができました。今思えば、会社員時代は自己肯定感が極端に低かったんですよね。当時は、とにかく自信をつけるために、周りの期待に応えて評価されたいという思いから、身を削って必死に頑張っていました。サバティカル休暇中に何十冊もの本を読んで本からヒントをもらったり、自分の行動を振り返りその時の心情を掘り下げながら、つらい中よく頑張ってきたね、とやっと自分と会話することができた感覚でした。言葉が変ですけど、自分と仲直りできた感覚みたいな。(笑)

今までは仕事、育児、家事と時間に追われ、自分のための時間なんてないほど忙しかったので、このサバティカル休暇中は、ずっとやりたかったこと、例えば家族旅行をたっぷり二週間する、読みたかった本を読む、ぼーっと考えるような時間を過ごしました。

振り返る時間を経て、これから目指すライフワーク

ーこれからのキャリアについて教えてください。

キャリアというよりもライフワークに近いかもしれませんが、自分の知識や経験、感性を使って女性のために何かしたいと思っています。というのも人生の振り返りをした際に楽しかった瞬間が、OG訪問での相談や同じ境遇にいた後輩女性社員の相談に乗ったことだったんですね。後輩の今の悩みは私の過去の悩みだったので、力になれることにやりがいや楽しさを感じていました。

オンラインでも人は繋がれる時代なので、インターネットを活用することで相手が世界のどこにいても繋がれますよね。そうした時代の恩恵を受けて何か人の役に立つことがしたいなって。今はそれに向けて動き出している状態ですね。

ー駐妻の皆さんに一言いただけますか?

私の経験からですと、会社員の生き方を辞めてから『振り返る時間』が非常に大事だと気づきました。駐妻になりキャリアが止まることをネガティブに捉えるのではなく、せっかく生まれた時間だからこそ自分の振り返りや立て直しの時間にあてる。一休みして次のキャリアについて考えるのが良いと思います。また、自分は何ができるのか視野を広げ、その練習や勉強をしておくことで次のキャリアへ繋がりやすくなると思います。

学生ライター感想:

言葉の選び方が非常に丁寧で、同じ境遇の人を助けたいという姿勢が素敵でした。個人的に「自分と会話をしながら過去を振り返ることで、自分と仲直りできた」という言葉が印象に残っています。記事に全て書き切れないのが残念なほど、貴重なお話ばかりでした。

取材・執筆:バルカツ 梨舞

 津田塾大学3年

校正:長崎亜弥香

文責:三浦梓

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