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周さん

子供の成長に合わせて臨機応変に!周怡君(Vivian)さん

駐妻のキャリアについて、気になる人にインタビュー。
今回より複数回に渡り、日本人以外の駐妻の方々にお話をお伺いします。
第1回目は、台湾人であり小学校教諭の周怡君(Vivian)さんです。台湾の公務員である旦那様の中東(ヨルダン・サウジアラビア)への駐在に帯同されたご経験に関し、お話を伺いました。

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ー 簡単に自己紹介をお願いします。

周怡君(Vivian)と申します。大学では音楽を専攻し、小学校の先生になりました。私も夫も公務員です。2006年に夫が語学研修の為に、ヨルダンに駐在することになったので帯同し、その後、2008年~2011年の3年間サウジアラビアへの駐在にも帯同しました。私も夫も公務員だった為、休職制度※を使うことができました。 駐在最後の年に現地で第一子を出産し、本帰国後職場復帰しました。そして、2014年、第二子出産直後に夫が再度サウジアラビアに駐在になりましたが、この時は子供達の教育のことを考えて帯同せず、台湾に残り両親のサポートを受けながら小学校の先生として働き続けました。夫は2016年に帰国し、現在は家族4人(8歳の息子と5歳の娘)揃って台湾で暮らしています。

※台湾の公務員の休職制度
配偶者も公務員であり、その配偶者が公務員としての任務で海外赴任する場合、一回につき2年間(延長1年間)の休職制度利用可。利用回数に制限なし。(配偶者が一般企業勤めの場合は適用しない)

ー 駐在生活はどのように過ごしていましたか?

サウジアラビア駐在の最初の半年は、友達もあまりできず、環境に慣れていなかったので、主婦業に専念していました。その後、台湾政府により華僑の為の中国語教室が設立されたので、ボランティアで中国語の先生として働き始めました。また同じ頃、友達から紹介された日本とスイスからの駐在員のお子さま達にピアノを教え始めました。英語は苦手でしたが、子供達に音楽を教えるにあたって、それほど高度な英語力は必要ではなかったので、その点は救われました。2年ほど教えましたが、最後の半年は、第一子出産のために働くことはできませんでした。

ー 海外で出産するのは大変ではなかったですか?

サウジアラビアには子どもがたくさんいましたし、産婦人科のレベルも高いのだろうと思い、台湾に帰らずに現地で出産することにしました。産後に母が1か月手伝いに来てくれたり、家の掃除をしてくれるお手伝いさんも来てくれていたので、私は息子の世話をするだけで良く、あまり大変ではありませんでした。

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ー その他駐在生活で何か大変なことはありませんでしたか?

すべての方が外国人である私達に対してフレンドリーというわけではなかったので、自分を強く見せる必要がある時もありましたね。

ー 駐妻になって自分の収入がなくなり、心地よくない気持ちになったことはありませんでしたか?

ありません。夫がすべて支払ってくれました。夫は私が海外にいて苦労しているだろうからと自由にお金を使わせてくれました。欲しいものがある時には、夫が買ってくれましたので、特に問題はありませんでした。


ー 休職制度を利用されたとのことでしたが、復職していかがでしたか?例えば、同僚との関係等大変なことはありませんでしたか?

台湾に戻り以前働いていた小学校に復職したのですが、最初はワーキングマザーとしての忙しい生活ペースや新しい教育法に慣れるのが大変でした。同僚との関係においては、特に問題はありませんでした。休職する時、私の仕事はすべて代替の先生にお任せし、他の同僚の仕事が増えるというようなことはなかったので、特に問題はありませんでした。

ー 2人目のお子さん出産時には、産休・育休を取られたのでしょうか?

8週間の産休を取りました。駐在帯同で合計4年間も休職していたので、育休はとらず産休だけにし、日中はベビーシッターに子供達を預けながら働くことにしたのです。

ー ワーク・ライフ・バランスの取り組み方を教えてください。

今は、7時半に出勤し、16時に仕事を終えています。上の子は私の勤め先の小学校に通っているので、子供の部活が終わってから一緒にバスで下の子を幼稚園に迎えに行き、18時頃に帰宅し、夕飯を食べ、21時か22時頃には寝かしつけます。

教師という仕事はあまり残業がないので、18時には帰宅し夕飯の準備に取り掛かれます。週末に買い物を済ませ、朝、夕飯の下準備やご飯の予約をセットし、帰宅した時には簡単に夕飯を作れるようにしています。夫の職場は家から近く、また残業も接待もあまりないので(接待は1-2週間に1回)19時頃には帰宅し、家族全員で夕飯を食べることができます。

夫はとても協力的で、家事は分担しています。夫は洗濯(干す・たたむを含む)、子供達の勉強をみること、ごみ捨てを担当し、私は食事の準備・後片付けと下の子をお風呂に入れることを担当しています。私は時々週末に仕事をする必要があるのですが、そういった時は、家族全員で学校に行き、私が仕事をしている間、夫は子供と遊んでくれています。子ども達も学校で父親と遊べるのが楽しいようです。

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ー 旦那様は、とても協力的で、Vivianさんのキャリアを応援してくれているように感じます。素敵ですね。

夫は基本的に私がしたいようにしていいよと言ってくれています。あまり干渉することもなく、「妻は家にいて子ども達の世話をしているべき」という考え方もありません。私が週末に働かないといけない場合も、特に嫌な顔をせず、子供達の世話をしてくれます。でも、自分のキャリアと言うより、私達は何かを決める時常に「子供達にとって何が最良か?」を考えます。ですので、2014年のサウジアラビア駐在の時も、私のキャリアの継続というよりは、子供達のことを考えて帯同しないという結論に至りました

ー もし、また旦那様の海外駐在が決まったらどうされますか?

今は子供達も大きくなりましたし、子供達の経験の為にも、英語力の為にも、帯同してインターナショナルスクールに通わせるのが良いかなと思っています。でも、中国語も忘れないで欲しいですけどね。。。今度はサウジアラビアであっても帯同すると思います。その時、私はまた休職して行くことになり、勤続年数による昇給は望めなくなりますが、それでも良いかなと思っています。赴任先が例え同じサウジアラビアだとしても、多少の不安を感じるとは思います。どのように帯同生活を過ごすかまでは、その時になってみないとわかりませんが、今度は自分の子供達にも、音楽を教えたいと思っています。というのは、何か特技を持っているということで個性を発揮できる場を作ることができますし、友達も作りやすくなると思います。親子で演奏できたら楽しいだろうなと思っています。私の子供達が演奏している姿を見て、音楽を習いたいという子がでてきたら、私も音楽の先生としてのキャリアを継続できますしね。

ー 公務員で休職制度を何度も利用できるというのはいいですね。子供の時から先生になりたかったんですか?

そうです。高校時代の進路を決めるタイミングで、教職を取れる大学ばかりを選んでいました。当時、生徒たちを指導するというのはかっこいい仕事だと思っていました。また、安定した仕事、家庭との両立もできる仕事という意味でも良いと思いました。結婚する相手が海外駐在になるなどということは、当時もちろん想定していませんでしたけれど。。。
台湾では、学校の先生というのは兼業が許されているので、子供ができるまでは、学校の授業が終わった後自宅で音楽を教えてもいました。とても忙しかったですが充実していました。駐在帯同する時には、個人レッスンの生徒達には他の先生を紹介してしまったので、帰国してからピアノの個人レッスンはしていません。自分から積極的に生徒を集めようともしなかったので、収入は減ってしまいましたね。

ー 転勤族だと同じ生徒さんに教え続けるというのは、なかなか難しいですよね。逆に、3年間の駐在生活でキャリアにプラスになるようなことはありましたか?

キャリアにプラスになることはありませんでしたね。ただ、人生で一息つける期間になりました。仕事のストレスもなく、たくさん旅行もできて、良いお休みの期間になりました。英語の勉強もしましたが、続けることができず、家でフルートやピアノの練習をしたり、大使夫人主催のお料理教室に通ったり、中国語を教えたりしていました。台湾では忙しい日々でしたので、駐在期間は良い休息期間になったと思います。

また、駐在生活が直接キャリアに結び付いたということはありませんでしたが、駐在中に出産・子育てを経験したことが、職場復帰し30人の生徒の担任の先生になった時に、子ども達をうまくまとめる上で活かされたと思います。子供の個性を尊重し、包容力を持ってフレキシブルに対応できるようになりました。子供を持つ前は、ルールはルールと言った感じでしたが、子供の気持ちや状況を理解してある程度の自由を与えることができるようになりました。また保護者との関係も良くなったと思います。子供達の話を保護者にする時、以前より相手(保護者)の立場に立って考え、相手の気持ちに寄り添い表現できるようになったと思います。

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ー 将来のキャリアプランはありますか?

私は公務員なので、転勤というものがありません。もちろん希望を出せば、他の小学校で働くこともできますが、私は基本的にはずっと同じ小学校で働くつもりです。というのは、同じ職場で長く働いたほうが、何かと融通が利いて働きやすいと思うからです。

ー Vivianさんの周りのお友達も休職制度を利用されていましたか?

一般企業に勤めている方は、配偶者の海外赴任を理由に休職制度を利用することができないので、利用している方はほとんどいなかったと思います。一般企業に勤めている方でも、3歳以下の子女の育児、高齢者の親の介護、家族が重病である場合は、利用できるのですが、休職制度を利用してもブランクができてしまうことに変わりはないので、利用していない方が多かったと思います。教師の場合は、休職中は代替の先生にお任せして、復帰したい時に復帰できるというメリットがあるのですが。。。

ー それでは、皆さん、専業主婦生活を楽しんでいらっしゃったということでしょうか?

そうですね。私が住んでいたコンパウンド(非サウジ人専用の高い塀のある居住区)には他の国からの駐在員の方々も多くいらして、日本人の駐妻さん達ともお友達になることができました。彼女達は英語が流暢でとてもアクティブに過ごされていましたよ。サウジアラビアは、流しのタクシーを拾うのは危ないと言われているので、コンパウド専用のタクシーまたはショッピングモールとコンパウンド間を走る専用バスを利用するのですが、専用タクシーは料金が高めですし専用バスは一日の運行本数も限られているので、他の国に比べて外出がしにくいと思います。それでも日本人の駐妻さん達はみんなで集まって、ゴールドスーク(金製品を扱う市場)やプリンセスの古着を扱うオールドスーク(布製品を扱う市場)に行かれていましたよ。そういえば、ギフトラッピングを教えてくれた日本人駐妻の方もいましたよ!日本人の皆さんは、フレンドリーで情報通でした。皆さんのおかげで、私の交流範囲も広がりましたし、いろいろと学ぶこともできて楽しかったです。

ー 自由に動ける範囲が限られている中で、皆さん様々な楽しみ方をされていたのですね。それでは、最後に、駐妻へのメッセージをお願いします。

言葉が通じない国で生活していくには、強い心を持たないといけないと思います。私自身は英語が得意ではなかったので、欧米人の友人はなかなかできなくアジア人の友達が多かったです。。でも、台湾の伝統的なお茶セットを持って行っていたので、お茶と手作りのパイナップルケーキを用意して他の国の友達を招待するなど、自国の文化を紹介することで他の国の方々とも交流したりしていました。中国文化に興味を持って頂けましたし、楽しんで頂けたようです。すでに日本人の駐妻の皆さんはされていることですが、オープンマインドの気持ちを持って、お友達を作るようにすれば、楽しく駐在生活を過ごせるのではないかと思います。

<インタビューを終えてみて>

同じ台湾人として最初に思ったのは、「公立小学校の先生というのはいい職業だな」という事でした(笑)。けれど、Vivianさんの話をよく思い返してみると、Vivianさんには環境の変化に対し、柔軟に対応できる能力があるのだと感銘を受けました。
アラブという閉鎖的なイメージのある国で駐在員のコミュニティも小さく、会社からのサポートも日本人駐在員ほどは多くない中、不平不満を言うことなく、オープンマインドで駐在生活を楽しんでいたVivianさん から学ぶことが多かったです。
どんな環境に置かれても、くよくよ考えず、仮に今は仕事ができなくても、人生の休憩タイムと捉えればいいんだと気楽に思えるようになりました。


(インタビュアー:李ワンチ、校正:上原寛子・金村彩香・秋元かおる)

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