様々なコミュニティに飛び込む
プロフィール:大学卒業後、外資系国際物流にて、コンタクトセンターエージェントに従事した後、外資系セキュリティソフトウェアベンダーへ転職。営業、ビジネス開発、パートナー営業を経験したのちに退職。夫のチリ共和国赴任に帯同。帰国後、双子を出産。出産後に転職し、外資系IT企業で営業やダイバーシティプログラムの開発に従事。
様々なコミュニティに飛び込む
チリ帯同中、現地の大学でのスペイン語教室やスタートアップの手伝い、翻訳業務など多くのことに挑戦していた宮本さんにお話を伺いました。
国際問題に取り組んだ経験が仕事の軸に
ー帯同前のキャリアについて教えてください。
大学時代に国際問題に取り組むサークルに所属していた経験を活かせる国際機関に就職したいと考えていました。新卒で入社した会社は国際物流の会社だったのですが、自分が当初、思い描いていたような国際問題に関わるキャリアに近づいていないと感じたため、転職し外資系のソフトウエア会社に就職しました。その後、夫のチリへの転勤が決まり、仕事を辞めることに対する葛藤もあったのですが、当時の自分の仕事が激務で体調面に不安があったことと、子供が欲しい気持ちもあり、帯同を決めました。
さまざまな活動に参加し、充実した帯同期間
ー帯同中はどのように過ごされていましたか
チリ大学のスペイン語学校に通いました。そこではいろいろな国籍の学生がおり、交流することは良い経験になりました。また、日本人女性が英語教育を受けられないチリの子供達に英語のプログラムを提供するスタートアップをしており、その事業の立ち上げや運営に協力しました。その他に週に何本か翻訳の仕事をやっていました。
ーさまざまなことにパワフルに取り組まれる中で、憂鬱になることはありましたか。
憂鬱になることはありました。ずっと仕事をしてきていたので仕事が自分のアイデンティティとなっており、仕事をしていない自分は価値がないと感じることもありましたし、早く仕事をしたい焦りもありました。
ーどのように気持ちを切り替えていましたか。
翻訳の仕事など自分が今できることに没頭したり、新しい活動をしてみたりして気分転換をしました。あとは人に話すことです。特に自分と同じ境遇の人、仕事を辞めて駐妻になった人と話すとリフレッシュできました。
また、現地のコミュニティに出て行くのに恐怖を感じて閉じこもってしまうタイプと、いろいろな活動をしていくタイプの2つに分かれるように感じました。後者には帯同中にMBAを取りに行った人もいました。閉じこもらずに積極的にいろんなコミュニティに参加したり自分の知見を広げたりすることの重要性を感じました。
チリでの経験が生きていること
ー帰国後はどのように過ごされていましたか
2019年の1月に帰国し、同年8月に双子を出産しました。12月まで育児をして2020年の1月に就職活動を始め、3月に現在の会社に入社しました。
ー現在取り組まれている、ダイバーシティ・インクルージョン促進について教えてください。
職場における人種、性的嗜好、障害の有無、宗教などいろんなバックグラウンドのある人が、全員がここに良いと思えるような職場や組織作りを推進し、全員が働きやすい職場へ向けた取り組みをしています。
ー現在の仕事のなかで駐在中の経験が今につながっていることはありますか
チリに行った時にいろんな国籍の人と知り合ったり交流する機会があったので、国や文化的背景、家庭環境や本当にいろんなことが要因していろんな考え方が生まれる、そのいろんな考え方はそれぞれで容認されるべきだなと感じた経験は今に繋がっていると思います。また、駐在帯同中にさまざまなコミュニティに入っていった経験も大きな意味がありました。現在、社内で仕事をするにあたり、さまざまなコミュニティに入ったり立ち上げたり、その中でいろいろな考えを聞いたりアイディアを出したり、コミュニティの中で自分では思いつかなかったことが具現化してスピード感も全然違ったりするんですよね。だからいろんなところに恐れずに入っていくみたいなところは今に生きていると思います。
ー駐妻になる方に向けてのメッセージをお願いします。
1つのコミュニティではなく、いろいろなコミュニティに入ってください。1つのコミュニティに閉じこもっていると、そこで嫌なことがあった時など逃げ道がなくなってしまいます。帯同先では最初から知り合いがいるわけではないので、最初に所属したコミュニティしかないように思いがちです。しかしいろいろな人と交流して、自分の気持ちを切り替えることができると楽しい帯同生活になると思います。
学生ライター感想:
憂鬱な気持ちになることも多い海外生活だと思うのですが、閉じこもるのではなく積極的にさまざまなコミュニティに属して活動する強さを感じました。よりどころの多さは自分の幅の広さにつながると感じました。
取材・執筆:大園祥央
津田塾大学 3年
校正:長崎亜弥香
文責:三浦梓