プロフィール:大学卒業後にエネルギー会社に入社。営業を経てアライアンス企画、新規事業に携わる。働き続けたい意思を会社に伝え、パートナーの転勤に伴う帯同後に職場復帰。
自分のキャリアと人生を自分の足で楽しむ
大学卒業後、エネルギー業界に就職、1年間の育児休職復帰直後に帯同が決まり、オーストラリアへ渡航。帰国後復帰し新卒からのキャリアを継続しておられます。海外での家族との時間、復帰されたときの心構えなどをお聞きしました。
育児休暇復帰後の急な帯同
ーはじめに、駐在に帯同するまでのキャリアについて教えていただけますか?
新卒でエネルギー会社に入社しました。長く働き続けたかったので、内定をいただいた中で一番長く仕事を続けられそうな会社に決めました。仕事を長く続けるためにも体力のある若いうちに子供を産んでおいた方が良いと思い、早めの結婚出産をしました。育児休暇から復帰した直後に夫のオーストラリア転勤が決まり、当時は帯同休暇という制度がなかったため会社を辞めなければならないのではと思いましたが、人事の方と相談し育児休暇の適用ということで休暇をもらい帯同することに決めました。
ー帯同が決まった際の葛藤やどのようなことを思ったのか教えてください。
当時は帯同休暇制度がなく、育児休暇を適用して帯同できるとは思っていませんでした。長く勤めることができるという点を重視して選んだ会社を辞めなければならないのだろうなという不安や葛藤はありました。しかし、人事や上司に相談し、会社がキャリアを継続するためにはどうすればよいかを一緒に考え、帯同できるように環境を整えてくれたことで、帰国後会社に復帰し、キャリアを持って会社に貢献していきたいと強く感じました。会社に対するロイヤリティが強まりました。
オーストラリアでの暮らしと家族と仕事の向き合い方
ーオーストラリアではどのように過ごされていましたか
育児休暇の適用内で行ったこともあり子供を育てるための時間といった感じで過ごしました。また日本にいるときにはとても忙しかったため、家族三人での時間を過ごすのは難しかったのですが、オーストラリアでは三人での時間を確保することができ、さまざまなことを三人で乗り越える経験ができました。仕事の面では、日本に帰国し仕事に復帰するために、子育てと仕事を両立させるための環境整備をしっかりと行いながら暮らしました。
例えば、保育園のことシッターさんのこと、家と会社の距離、通勤時間のことなどしっかりとしたシュミレーションをした上で復帰したので、一回目に復帰した時よりも段違いにスムーズに復帰できました。
帯同経験が生きたこと
ーオーストラリアでの経験が現在に生かされているなということはありますか
仕事の面では、会社に対するロイヤリティが上がったことです。自分が辞めなくても済む選択肢を作ってくれたことで恩返しをしたいなと思うようになりました。数年前に帯同休暇ができたので、最近は帯同休暇を取得する後輩の相談に乗ることもあります。私自身オーストラリアに渡航したことでの後悔は全くなく、渡航して良かったと思っていますし、後輩にも短期的な視点で考えてキャリアが遅れることを心配するのではなく、新しい環境で色々と経験した方が良いとアドバイスをしています。
また、家族全員で時間を過ごすことができたことも良かったです。以前主人は休日もずっと仕事をしており家族と一緒に時間を過ごすことが難しかったんです。直接的に関係があるわけではないのですが、帰国後、夫がより家族との時間を確保できるような会社に転職をしたんです。オーストラリアで家族で一緒に過ごす時間が増えたことによって価値観が変わったと言っていたので、その点においても渡航して良かったなと思います。
ーこれから駐妻になる人に向けてメッセージをお願いします。
駐妻期間も駐妻後も自分の人生なので自分の足で立って楽しみましょう。連れてこられたというような気持ちだったり、日本にいたら私はこうなのにと思ったり、駐在期間中の時間を仮の人生のように過ごすのはもったいないなと感じています。駐在期間中も、帰国後も自分の人生ですから主体的に今この場をしっかり楽しむということは大切だと思います。
学生ライター感想:
連れてこられたと思うのではなく、自分の足で人生を楽しみましょうという言葉が印象に残っています。駐妻になる方、海外に駐在しなくても家族に合わせて自分のキャリアを変えねばならない女性はたくさんいると思います。その環境を嘆き、家族に合わせざるを得なかったと思うのではなく、自分で興味を持ち主体的に生きることで、その環境から学ぶこと、その後に生かせる経験は変わってくるように感じました。駐在に帯同することは、キャリアにとっては大きな決断となるはずですが、その場その場を主体的に楽しむ姿勢を持っているからこそ、どのような選択をとっても良い経験だったと思える結果にすることができるのだと思いました。
取材・執筆:大園祥央
津田塾大学2年
校正:中山斉奈
文責:三浦梓