INTERVIEW

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プロフィール:新卒で富士写真フイルム(現:富士フイルム)に入社、6年半勤務ののち出産により退職。子育て中の2級FP技能士取得を機に横浜銀行に入職するも 2011年、夫のシンガポール赴任に帯同。在星中は日本語教師として異文化交流中心に充実した日々を過ごす。帰国後、東京大学で留学生支援等5年の勤務を経て、現在は日本貿易振興機構(JETRO)に在籍。

駐妻から始まった第二の人生

今回は、配偶者の転勤でシンガポールに渡り、子育てと両立させながらキャリアを大切にされ、現在は独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)でお勤めされている大滝靖子さんにインタビューさせていただきました。

予期せぬ海外転勤

海外転勤に同行する前のキャリアやライフプランについて教えていただけますか?

新卒で富士フイルムに入社しました。営業事務、自社が扱うグラフィック機器インストラクターなどに従事しましたが、当時は結婚したら女性は会社を辞める風潮があり、私も結婚し出産を機に退職しました。その後は子育てを優先しながらも、社会と接点を持ちたいという思いから、子供が登園中に歯科助手のアルバイトを始めました。キャリアという観点では何も考えていませんでした。しばらくして、たまたま関心のあったFP技能士2級と証券外務員2種の資格を取得し、それらを生かしたくなり銀行に転職しましたが、3年間勤めたころ、突然夫のシンガポール転勤が決まりました。子供たちが中学入学と中学3年を迎える進路決定に重要な時期であり「今ですか?!」と衝撃を受けましたが、それでも子供たちにとって貴重な経験になると思いましたし、また、私自身も学生時代に留学したいという思いを父親に頭ごなしに反対され断念した経験から「若い頃の留学の夢が今実現する!この機会を十分に楽しまなければ損!」とガラっと気持ちを切り替え、帯同を決意しました。

第二の人生の幕開け

次に、海外滞在中にキャリアを意識して取り組んでいたことについて教えていただけますか?

シンガポールでは、まず「やり直し英語」に力を入れました。インターナショナルスクールや塾代と、子供たちの教育費の負担が大きく、なるべく自分にはお金をかけずに英語を身につけられる環境を模索し、色々なところにアンテナを張っていました。現地のコミュニティーセンターで習い事をしたり、ブリティッシュ・カウンシルの英語教師養成コースでは、生徒役として無料でコースに参加できたため、長期間活用しました。ブリカンでは日本人受講者は私1人で、先生以外の受講者は世界各国から来ている英語を第一言語としない方ばかりでした。授業後も多国籍の仲間と食事したり、国籍は違っても同じ駐妻として悩みを共有しあえる友人もでき出かけたりもしました。

また、日本や日本語に興味のある外国人とも多く知り合い、日本語を教えてほしいとよく言われました。その頃、日本語教師を募集している語学学校を友人から紹介され、面接を受け採用されました。日本人であっても素人が日本語を教えるのは容易ではなく、当初、日本語教師の資格を持っていなかったので学校で教えながら、その資格取得のため通信で講座を受けていました。多忙でしたが、自分のために何かをするということをしばらく考えていなかったので、非常に楽しかったですし充実していました。慣れてきた頃には、語学学校でのクラスのほか、企業に出向いてのグループレッスン、また日本語のボランティア活動も行っていました。

シンガポールでの経験から学んだことは何かありますか?

日本の常識が100%だと思いこんでいましたが、多種多様な人々との出会いや交流を通して、考え方は様々であることを学びました。人種も様々、服装もカラフルでラフな電車内の光景からは、こんなに自由でいいんだ!と、これまでどれだけ周囲の目を気にして保守的に生きてきたかということを実感しました。一方、日本人としてのアイデンティティを意識する場面も多々あり、人生観が変わりました。

日本で 学びたい・働きたい外国人のために

最後に、この先のキャリアやライフプランについて教えていただけますか?

帰国後、東京大学の職員として、海外からの留学申請受付、留学生や教員支援、研究室秘書など5年ほど勤めました。東京大学での経験を生かして、現在は独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)で、自社の海外展開のために、高度外国人材(留学生など)の採用・育成を考える企業の支援に携わっています。留学生の就職に関連するため、国家資格キャリアコンサルタントの取得を目標に勉強を始めましたが、思いがけず自分のキャリアを振り返ることにもつながっています。この資格取得がどのような場面で役に立つか今はわかりませんが、いずれ活用できたらいいなと思います。今後はさらに視野を広げ、社会とのつながりを大切にしながら、無理のない範囲で自分にできること、やりたいことに引き続きチャレンジしたいと考えています。

―大滝さんが人生で大切なものはどんなものですか?

子供たちを中心に家族を大切にしてきました。仕事だけでなく、それ以外のことを含め た“キャリア=人生” を充実させることに大きな意義があると感じています。

学生ライター感想:

シンガポール帯同から人生観が変わったということを伺い、人生何があるかわからないと感じました。大滝さんの行動力の凄さにも驚きましたし、子育ても両立させながら現在もキャリアを歩んでいる姿に心を打たれました!

取材・文:津田京香 

津田塾大学総合政策学部総合政策学科2年

校正:長崎亜弥香

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