INTERVIEW

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プロフィール:大学院卒業後、大学のアシスタント業務を経て、スーダンでの開発案件に従事。任期終了後、開発コンサルタント会社に研究助手として入職。国際協力に係るプロジェクトに従事する傍ら、結婚し、子どもを出産。退職してスコットランドへ帯同。約2年間の帯同後、2人目の子を出産。現在は、株式会社国際開発センター研究員。

キャリア以外の面で成長できた駐在期間 

自分なりのライフプランをつくる

紛争予防への貢献を人生のテーマとする神宮司真奈さん。スイスの大学院卒業後、国際協力に係るいくつかのプロジェクトに参画後、出産、育休を経験。育休中に帯同を決意しました。

仕事として紛争解決(予防)に貢献したい

―神宮司さんが将来について考え始めたのはいつ頃ですか?

大学受験に際して将来やりたいことを考えたとき「紛争について学びたい」と思い、青山学院大学の国際政治経済学部に入りました。大学時代の様々な学び、経験、出会いを通して、「仕事として」紛争をなくすことに貢献したいと強く思うようになりました。卒業後、民間企業就職の選択肢も考えましたが、社員訪問での言葉や大学院受験を経て、もっと勉強したいと思い、大学院進学に決めました。
大学院では、人権法や人道法について学び、さらにスイスの大学院進学を決断しました。2つ目の修士号取得後、学びを生かせる仕事に就くために複数応募するも叶わなかったため、紛争後の開発に範囲を広げ、国際協力機構(JICA)の開発プロジェクトにて海外スタッフ(スーダン)として2年間働きました。そこで初めて人権、人道の畑から、開発の畑に飛び込みました。

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修士時代の学びを現場の活動に直接生かせないことに歯痒さを感じることもありましたが、それ以上に大きなやりがいがありました。2年間で現地の人に変化が見られ、現地の人と一緒に試行錯誤する開発コンサルの仕事に魅力を感じました。また、こうした紛争予防への貢献もあると思うと、この畑で頑張ってみたいと思えました。そこで、帰国後は開発コンサルの会社に入りました。

キャリアと家族

―プライベートはどのようにお過ごしだったのですか?

当時、7年ほど付き合っている彼がいました。帰国後は、家族を大切にするスーダン人に影響を受けて一歩彼に寄り添おうと思い、日本ベースでできる開発コンサルの仕事を選び、結婚しました。しかし、結局半年は海外にいましたね(笑)。

また、今の仕事で早く一人前になりたい気持ちと、子どもが欲しい気持ちがありましたが、子どもがいると私は海外出張に行かなくなるだろうと思い、悩みつつも、数年は子供を作らないと考えがまとまりました。しかし、そのときちょうど、子供ができたんです。

そして、育休中、夫から仕事で海外に行けるチャンスがありそうだと相談を受けました。私自身、子どもが小さいうちは望むように仕事ができないかもしれないと思いながら、スーダンの夢を見てしまうくらい仕事をしたい気持ちがありました。これもチャンスだと思い、帯同を決めました。行く前は、現地で仕事やボランティアをしようと思っていましたが、実際は難しかったです。そこで、割り切って子どもと夫を第一に考えようと思いました。海外にいるときにキャリアに関してやったことは、IELTSの受験と、オンラインで大学のコースを受講したことくらいです。あとはどっぷり海外での子育て生活に浸かりました。

それから、2人目の子供にも恵まれ、出産2ヶ月前に本帰国しました。

子育てと仕事のバランスを考えたキャリア選択

―帰国後はどのようなキャリアを選択しましたか?

2人目が生まれて半年後、夫が半年育休をとってくれたため、その間私が就活をしました。就活先の一つに、日本が支援現場であるものがありました。そのときの面接で、「本気でこの仕事をすると、家族に合わせてもらうことがある。長い子育て期間の中でそれができる時とできない時があると思う。だから今がそのタイミングかどうか考えてはどうか。」と言われ、子どもがまだ小さいので今ではないかもしれないと思い直しました。ご助言下さった面接官の方に感謝しています。

その後、前職の上司に偶然お会いしてご縁を感じたことと、前の会社だと仕事をしながらの子育てを想像できたので、再就職しました。

―子育てをしながらのキャリア選択は非常に難しそうです。

子供ができてから、長期のキャリアビジョンが考えにくくなりました。今はそういう時期なんだなと思っています。子供は大きくなるにつれて変わるから、今長期ビジョンをイメージできなくても、将来やりたいと思った時にできるための積み重ねをしていこうという思いでいます。しかし、長期ビジョンとして、紛争予防への貢献は私の生涯のテーマだと思っています。

―最後に、駐妻の皆さんにメッセージをいただきたいです。

仕事ができなくて、モヤモヤする期間はあると思います。私はそうでした。ただ、今なら当時の自分に「今は目の前の環境で楽しみ、仕事ができる状況になったら思いっきりやったら良い」と言いたいです。ブランクがあって、他の人に置いていかれることへの強い不安もありました。でも、自分のライフプランは自分で作るオリジナルなもので、他の人と比較してもしょうがなかったのです。また、仕事ができない期間に何も前に進んでいないわけではありませんでした。そこでしかできない経験や出会いがあったことで人としての視野が広がり、ちゃんと積み重ねたものがあったと帰国前に気がつきました。無駄なものなど1つもないと思います。

学生ライター感想:

幾度もキャリア変更・選択を迫られながら、家族を大切にすることと、紛争予防に貢献することのバランスをとりながら自分なりに納得できるライフプランを形成できるところに、人間としての深みや強さを感じました。

取材・文:渡辺璃香

 慶應義塾大学大学院社会学研究科/修士1年

校正:長崎亜弥香

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