INTERVIEW

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プロフィール:1981年生まれ。大学卒業後に都市銀行で事務・受付業務を7年半経験。2012年、夫の駐在でイギリスのロンドンに帯同。在英期間中はヨーロッパ14か国巡り、流行している雑貨・食器等を調査、研究する。帰国後、2018年に輸入業で開業。ポルトガルのコルク製品・レディースアパレルを展開する。現在は東京都在住。

興味を持ったことは、考えるよりやってみる!

7年半勤務した日系大手銀行を退職し、イギリスに帯同した高谷奈穂子さん。興味のあることに果敢に挑戦する決断力と行動力を武器にイギリスで様々な経験を積み、現在は輸入業で起業をされています。

就職氷河期のキャリア形成

―大学時代、どのようなキャリアを思い描いていましたか?

当時はキャリアについてあまり深く考えていませんでした。教育に興味があったので、教育関係の会社で働きたいとは思っていましたが、就職氷河期だったこともあり、間口を広げて様々な職業を見て、派遣社員として銀行で働くことになりました。

―実際に働いてみていかがでしたか?

はじめに思ったことは、「毎日働くって大変」ということです(笑)銀行は定時で帰れてメリハリがつけられるお仕事ではありましたが、毎日決まった時間働くことがつらくて、働き出した当初は夜9時には就寝していました。また、銀行の厳しさは、お仕事が非常に細かいことや時間の縛りが強いことでした。しかし、この細かさゆえに上司や先輩に丁寧に教えていただいたことは、このあとのキャリアに非常に役立っており、若いうちに銀行で働く経験ができて良かったと思います。途中からは、正社員になるオファーをいただき、派遣と正社員合わせて7年半働きました。

―順調にキャリアを積み上げていたときに、帯同が決まったのですね。

はい。夫は転勤があることを知っていましたが、いざ本当に海外帯同を告げられると電車の中で泣いてしまうほどショックでした。海外で生活することへの不安や、今まで頑張って積み上げてきたものが全て崩れてしまう喪失感に襲われました。それからは、帯同まで半年程度期間があったので、夫の前にイギリスに帯同していたご家族にお話を聞いたり、ブログを読んだりして準備をしていくうちに、少しずつワクワクする気持ちも出てきました。仕事は、配偶者の転勤の影響で辞める際、5年以内であれば復帰できる制度があったため、そちらに登録しておきました。

興味を持ったことにチャレンジ―期間限定の滞在

―実際にイギリスに渡航してからは、どのような気持ちになりましたか?

最初の1週間くらいは旅行気分でしたが、言葉も通じないし、バスや電車の乗り方など、事あるごとにわからないため、外に出るだけでどっと疲れました。このまま家に閉じこもっていた方が楽なのではないかと思うときもありましたし、イギリスのどんよりした天気で気分がさらに落ち込み、3ヶ月目くらいには鬱っぽくなりました。そんなとき「誰か日本から友達が来ないかな」と思っていると、銀行時代の先輩で、ドイツで駐妻されている方がイギリスに来ると連絡をいただきました。先輩とお話して、比較的日本人が多い地域に住んでいる自分の恵まれた環境を知り、もう少し頑張ってみようと思うきっかけになりました。

―具体的にどのようなことをしましたか?

初めは、英会話スクールに行きました。また、アロマや紅茶の習い事、国際交流の会に参加、日本語を教えるボランティアなどをしました。元から好奇心が強く、面白いことは考えるよりもやってみたい性格なので、様々なことに取り組みました。また、期間限定の駐在だったので「次はないかもしれない」と思い、すぐに決断していました。これらの活動は、帰国後のキャリアを強く考えたものではありませんでしたが、「何かを見つけて帰りたい」という気持ちがあったのは事実です。3年も仕事をしてない人は、社会から淘汰されてしまうのではないかという不安があり、日本に帰ってきて何をするかはずっと考えていました。 

輸入業で日本と世界の架け橋に

―日本に帰国した後、どのようなキャリアを歩んでいるか教えてください。

まずは、職業訓練学校に通いました。その後、市役所での就職が決まり、勉強したこととは関係のないところで働くこととなりました。しかし、イギリスにいたときや職業訓練学校で学んでいたときから起業に興味があったので、商工会議所が主催している創業塾に参加しました。そのときは何も始めなかったのですが、創業塾終了後も頑張っている皆さんの様子を見て、自分も何かやりたいという気持ちが沸き上がってきました。 そこで、知人から頂いた輸入ビジネスの本やイギリスにいたときに国際物流や物価の違いに関心があったことを思い出し、輸入業で起業するに至りました。

現在は、ドイツの展示会を視察した際に見つけたコルク製品を商材とした輸入業を行なっています。コルク製品はワインのコルク栓やコルクボードしか、イメージがなかったのですが、バッグ・財布・鍋敷き・小物入れなど、さまざまな製品に変化ができ、私がイギリスで見てきた多様性の世界を表現しているようでした。。私はイギリスで人生観、世界観がガラッと変わったので、そのような経験を提供できるように、お仕事を通して日本と世界の架け橋になりたいです。

学生ライター感想:

自分がいる環境で与えられる機会を掴み、できる限りのことを最大限にやりきる姿、そのことを通して、次のキャリアを主体的に創っていく姿が印象的でした。

取材・文:渡辺璃香

慶應義塾大学大学院社会学研究科/修士1年

校正:長崎亜弥香

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