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小崎亜衣子さん

駐妻経験を活かそう!私だけの「しなやかなキャリア」- 小崎亜依子さん (株式会社Waris)

駐妻のキャリアについて、気になる人にインタビュー。
第二回目は株式会社Warisで、女性のキャリア支援に取り組んでいて、我々駐妻キャリアnetの応援団でもある小崎亜依子さんへのインタビュー。
小崎さん自身もご主人の留学に帯同したご経験をお持ちです。
海外生活の経験や、女性が「しなやかで強いキャリア」を実現するために必要なエッセンスを教えて頂きました。
株式会社Warisは、女性3人の手で立ち上げられた、女性やワーキングマザーを支援する人材紹介会社です。フリーランスという新しい働き方の提案を通して『時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の提供や、どんな環境でも誰もがいきいきと働き続けられる社会の実現』を目指しています。

ー よろしくお願いします。ご経歴をお伺いできますでしょうか。

新卒で野村アセットマネジメント株式会社に入社し、留学・出産育児で5年の専業主婦期間を経て、NPOでアルバイトとして復職しました。
2007年に株式会社日本総合研究所に入社し、 「なでしこ銘柄」(女性活躍推進に優れた上場企業を選定する経産省の取組み)における企業分析などを担当した後、2015年株式会社Warisに参画しました。

ー Warisでは、どのようなお仕事に取り組まれていらっしゃいますでしょうか?

企業に対するダイバーシティ関連のコンサルティング事業や出産や育児などの事情で、離職期間が長くなってしまった元総合職女性の復職支援を行うre:try事業を主に担当しています。
また、能力の高い元総合職女性の活躍の場を増やすための仕事創出や、Waris Innovation Hubにおいて、働き方などに関する情報発信やリサーチなども担当しています。

ー Warisに入社された動機を教えてください。

日本総研で「なでしこ銘柄」などの仕事を担当し、女性の活躍推進に関わる中で、シンクタンクとして外部からの評価を通じて企業の行動変容を促すことの限界を感じはじめ、現場で女性がいきいきと活躍できる事例を作るような仕事をしたいと考えるようになりました。
また、日本総研時代にフリーランスの人材を活用したことがあり、フリーランスという新しい働き方に大きな可能性を感じていました。
そのため、Warisの「女性×フリーランス」という分野を大きく成長させていきたい、働き方改革の事例をつくっていきたいと思い入社を決めました。

ー 現在は女性の働き方改革の現場で活躍されている小崎さんですが、小崎さん自身もご主人の留学に帯同したご経験をお持ちだと伺いました。

そうなんです!2000年の7月から2年間、アメリカのペンシルバニア州のピッツバーグに住んでいました。夫の留学が決まり、元から興味のあった大学院留学に一緒に挑戦しようと決めたんです。当時は金融業界に勤めていたのですが、金融と環境問題を組み合わせたエコファンドの記事を読んだことをきっかけに、貧困や環境などの問題に取り組みたいと思っていました。
公共政策を専攻し、それまで経験してきたことと、新しく学ぶことを組み合わせてこれからのキャリア、自分にしかないキャリアを作っていきたい、とチャレンジしました。

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ー 海外生活の期間に新たな分野での勉強に挑戦されたとのことですが、苦労はなかったのでしょうか?

最初はとても苦労しました。私が入学した大学院のコースには、アジア人女性がほぼいなかったことと、年齢が若かったこともあり、ちょっと異色な存在でした。英語もあまり上手ではなかったので最初はほとんど発言できず、とにかく居場所を作ることに必死でした。グループワークで「自分が何でもやります」と、チームに貢献することで居場所を作って行くところから始めました。

ー 海外生活の期間に印象に残っているエピソードはありますでしょうか?

日本人のコミュニティにおいて、急に「小崎さんの奥さん」という存在になったこと、また、「奥さん=専業主婦」という考えが普通で、私自身が「何を考えているのか」に誰も興味を持っていないことにすごく驚きました。
ただ、この駐妻時代に受けたカルチャーショックの経験から、人を立場でひとまとめにせず、「それぞれの人がそれぞれの思いを持って生きている」「立場や身分で人を判断することには何の意味もなく、同じ立場だからだと言って、皆が同じ価値観とは限らない」ということに気づくことができました。
その時の経験が、現在の周囲との関わり方やマネジメントに活きていると感じます。

ー 確かに、海外在住の日本人の中では「奥さん=専業主婦」という固定観念がまだまだ存在するように感じます。小崎さんが翻訳・構成を担当されている『女性が管理職になったら読む本』(ギンカ・トーゲル著)の中に、女性には「無意識バイアス」=「女性はこうあるべき」という考えが存在するという記述がありますが、「奥さん=専業主婦」という考えも駐妻の「無意識バイアス」なのでしょうか?

そうですね、「男性が上、女性が下」という固定観念は女性の中にもあります。例えば駐妻は、「奥さんだから夫に尽くさなくてはいけない」、「駐妻だから働けない」、という無意識の考えに縛られている人も多いのでは、と思います。でも、いろいろなことに対する思い込みって皆持っていると思うんです。
例えば、私も時短勤務をしていた時、やってもいないのに「時短勤務なのでここまでしかできない」と思い込んでいましたし、育児書に「こうあるべき」と書かれていることに苦しめられたりしていました。
「無意識バイアス」は、自分で自分の限界を作ることに繋がってしまうのではないかと思います。

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ー 女性が自分に限界を作らず、ライフイベントに応じたしなやかなキャリアを実現していくためには何が必要となりますでしょうか?

日本全体でいえば、新卒一括採用・年功序列を変えていかなくてはいけないと思います。今、取り組んでいる女性の復職支援事業では、年功序列では評価できない人の中途採用を促していますので、そんな社会制度に風穴を開けることになるのではないか、と感じています。
加えて離職期間があったとしても、その期間も「キャリア」の一部として捉え、「どのように考え、どんな行動をしたか」ということを評価する仕組みがあるといいな、と感じています。長い人生、仕事から離れる期間があってもいいですし、そうした経験が視野を広げることにもつながりますよね。
一方で、女性は自分の強みを意識し、目の前の仕事に全力で、プライドを捨てて取り組むことで新しいチャンスを掴むことができると思います。働き続けるための制度や仕組みばかりに着目するのではなく、まずはチームの中で役に立つ存在となる努力をすることが、しなやかなキャリアの実現に繋がるのではないでしょうか。
特に駐妻の経験がある女性は色んな視点で物事を見ることが出来ると思うので、キャリアにおいて柔軟性やバランス感覚を活かすことが出来そうですよね!

ー 女性のしなやかなキャリアの実現に向けて、小崎さんが今後取り組まれたい内容をお教えください。

現場で女性活躍の事例を増やしていくと同時に、離職期間がある人の採用が企業にどんな価値があるのかも明らかにしたいと考えています。
また、今後はずっと同じ仕事をやり続けるのではなく、様々な仕事や経験がその人の価値をあげて行くと感じていますので、これまでは考えられなかった仕事の組み合わせでその人の価値をあげていくお手伝いをしたいと思います。

ー 最後に、駐妻キャリアnetに向けたメッセージを教えてください!

時代に合わなくなった制度を変えていくのは女性だと思っています。駐妻キャリアnetでは、当事者である「キャリアに悩む駐妻」自身が行動に移している、という部分が素敵ですよね!社会的に意義のある活動だと思いますので、今後も応援しています!

<インタビューを終えてみて>

常に明るく笑顔で、物事をぐいぐい前に進めていかれる小崎さん。ご主人に帯同して海外の大学院で学ばれたご経験が、現在のキャリアに繋がっているというエピソードにとても励まされました。多くの女性と向き合った小崎さんに教えて頂いた、しなやかなキャリアを築くためのエッセンスを胸に、残りの駐妻期間も前向きに過ごそうと気持ちを新たにしました。

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◾小崎亜依子(こざき あいこ)

Waris Innovation Hub プロデューサー /株式会社Waris ワークスタイルクリエーター

野村アセットマネジメント株式会社を経て、留学・出産育児で5年のキャリアブランク後、NPOでのアルバイトで復職。2007年より株式会社日本総合研究所で、企業のESG側面の評価分析を行い、社会的課題解決を投融資の側面から支援(日本証券アナリスト協会、企業価値分析における ESG 要因研究会委員)。「なでしこ銘柄」における企業分析などを担当した後、2015年株式会社Warisに参画。
自身の経験を活かし、キャリアブランクのある女性を対象としたインターンシップ事業を手掛けるとともに、プロフェッショナル女性を対象としたプロジェクト型ワークの創出や多様化推進のためのコンサルティングを行う。
著書に『女性が管理職になったら読む本』(翻訳・構成を担当)、『スチュワードシップとコーポレートガバナンス―2つのコードが変える日本の企業・経済・社会』(共著)、『子どもの放課後を考える』(共著)などがある。
1996年慶應義塾大学総合政策学部卒業、2002年ピッツバーグ大学公共政策国際関係大学院修了(公共政策マネジメント修士)。 明治大学「女性のためのスマートキャリアプログラム」講師、日本テレワーク学会会員。

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