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国際経験を国際貢献につなぐキャリアは止まらない

プロフィール:経団連から奨学金をうけ、米国の全寮制高校に留学。米大学卒業後、総合商社で南米の金属資源投資業務に従事した後、日本企業の世界進出支援を行う官民ファンドへ転職。その後夫のチリ駐在に帯同中にチリ大学・米大学の共同MBAプログラム修了。現在は子ども二人を育てつつインフラ投資を行う官民ファンドで投資業務従事中

国際経験を国際貢献につなぐキャリアは止まらない

今回は、アメリカの大学を卒業後、ご自身の駐在や配偶者の駐在への帯同を経て、現在は日本の官民ファンドにて勤務をされている、宗村奈保さんへのインタビューをお届けします。グローバルな環境で培った視点や、駐在帯同中のMBA取得などについてお話を伺いました。

高校生で「世界」という舞台へ

ー最初に、ご主人の駐在に帯同される前のキャリアについて、学生時代のお話からお願いします。 

私は父の仕事の都合で国内の転校をたくさん経験していたので、環境適応能力に自信があり、その経験から高校生の時に「海外に目を向けたい」と思うようになりました。ただ1年間の留学だけでは、英語力の面でも経験の面でも自分が目指すレベルに到達するには不十分だと思ったので、経団連の奨学金を受け、ユナイテッドワールドカレッジ(以下、UWC)という、世界80か国から高校生が集まる全寮制学校のアメリカ校に2年間留学させていただくことができました。

ルームメイトはセネガル人、親友になったのはモンテネグロ人とグアテマラ人とコスタリカ人という、まさにグローバルな環境で国際経験を積みました。もちろん日本語は使わず、全て英語でのコミュニケーションでした。その後も、もう少しアメリカでの経験を積んで英語力も磨きたいと思ったので、アメリカのマカレスター大学に進学し、在学中にコスタリカ留学もしました。

ー卒業後は、どのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?

UWCでのグローバルな経験から、将来は日本社会だけではなく、国際貢献などの世界規模で役に立てる仕事をしたいと考えるようになりました。しかし、自分のルーツは日本であると考え、まずは日本人としてビジネスができるようになりたいと思ったので、研修が手厚く、海外との仕事が多いという点で、日本の総合商社を就職先に選びました。スペイン語が話せたので南米の投資業務を担当し、チリ・ペルーに駐在もしました。
駐在を終えたのち、自身の夢に近づくために次なるステップに進みたいと感じました。その際、自分自身のことを振り返り、自分の軸はビジネスを通じた社会貢献にあると再認識したので、日本企業の世界進出を支援する官民ファンドに転職をしました。官民ファンドでの仕事は、自身のやりたいことに近づいている感覚を得られるものだったので、充実した日々を過ごしていましたが、その時に夫のチリ駐在が決まり、結婚前からの約束もあったので、帯同することにしました。

時間があっても持て余さない、駐在帯同期間

ー次に、配偶者のチリ駐在に帯同されていた頃のキャリアについて教えていただけますか?

当時のチリでは、仕事が決まっていれば比較的簡単に就労ビザを取得することができました。商社時代の伝手で就職活動を行い、現地で働くつもりでしたが、現地移民法が変わり、労働ビザ要件が厳しくなったため、現地で働くことが難しくなりました。悩んだ末、働くことは断念し、チリ大学とアメリカの大学の共同プログラムでMBAを取得しました。

それでも、MBAプログラムが始まるまでの1年間は、人やビジネスに関わるのが好きだった私にとっては「なにもできない時間がありすぎて辛い」状況だったので、現地の友人が地元農家から仕入れた有機野菜を現地在住日本人にも販売したり、日本人のママさんサークルの幹事をやったり、日本のNGOの書類の翻訳をしたりして過ごしていました。帯同期間、キャリア継続を断念にせずに、MBAを取得する選択をしたのはとてもよい判断だったと思います。

「社会・国際貢献」に向き合い続ける

ーその後、本帰国されていらっしゃいますが、現在そして今後のキャリアについて教えていただけますか?

帰国後の再就職に際しては、キャリアチェンジも考えました。しかし今はまだ夫が駐在先にいて、私と子供二人だけで生活している状況なので、働きやすさを優先して転職活動を行いました。時短勤務もリモートワークもできるという部分を重要視しながら、わたしの目標であるビジネスを通じた社会貢献のできる仕事に携われる企業を探した結果、以前とは異なる官民ファンドに就職することになりました。今回も日本企業の海外進出をサポートすることで、日本に対して社会貢献ができる点、またインフラ投資を通じた国際貢献もできるという点にも魅力を感じています。

今後については、また夫が海外駐在することになったら、今度は現地で仕事をしたいと考えています。理想は国際機関で働くことです。海外の国際機関では、大学院卒業という要件がある場合が多いので、その際はチリで取得したMBAを活かしたいと思っています。駐在の有無や駐在先については未定ですが、いずれにせよ、今よりも大きなスケールで国際貢献に携わっていきたいです。

学生ライター感想:

駐在帯同や子育てをする中でも、「社会・国際貢献」というご自身の目標に向き合い続ける、宗村さんの力強いキャリアがとても魅力的でした。自分の軸をぶらさず、目標を追い続けることで、環境に関係なく自分の望む方向に進めるということを学べました。

取材・文:笠原菜々子

 津田塾大学学芸学部英語英文学科3年

校正:中山斉奈

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