INTERVIEW

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プロフィール:2018年晩秋からマレーシア・クアラルンプール在住。高校時代から理系に進学し、大学院修士課程を修了後、日系メーカーに就職。7年間ソフトウェア開発推進業務に従事。プロジェクトマネージャーの資格を有する。現在は、配偶者転勤帯同制度を利用して休職中。

「自分のキャリアは自分でつくる」休職期間中に身につけたキャリア観

日系IT企業を休職し、マレーシアに帯同しているM・Hさん。休職中も、複数の団体でボランティア活動や自己啓発など精力的に活動をされています。

高校時代の関心のままIT職に就職

―海外転勤に帯同する前はどのようなキャリアを歩んでいらっしゃったのですか?

日系メーカーのIT職に就職しました。もともと数学の先生を目指し高校時代から理系を選択したのですが、あるときテレビでToy Storyをみてから、CG技術に感動しIT業界に興味を持ちはじめました。大学院卒業後、理系にしては珍しく、20社程選考を受けましたが、最終的に大学時代から惹かれていた企業に就職しました。

入社してからは、プログラムを書く仕事より、プロジェクトを管理する仕事をさせていただき、日々、懸命に働いていました。この経験をした結果、プロジェクト管理やプロジェクトを複数人で取り組む際に必要な組織論への関心が強いです。

夫の海外転勤の話が出てからは、自分のキャリアをどうするか複数の選択肢があったのですが、社内に配偶者転勤休職制度があり、その制度を利用し帯同することにしました。不安や抵抗感も多少はありましたが、同時に面白さも感じていました。私は面白そうなものには悩みつつもフットワーク軽く飛び込んでみる性格なので、不安は海外渡航の障壁にはなりませんでした。

帯同期間に変わったキャリア観

―帯同期間中にキャリアに関して取り組んでいることはありますか?

現在は主に3つの柱で活動しています。

1つ目は、駐妻カフェでのwebサイト運営ボランティアです。夫の海外転勤に帯同するか迷っていたときに参加したイベントがきっかけではじめました。私は大学や職場で男性が8割くらいの環境にいたので、多様な女性のキャリアについてお話を聞くことは大変刺激的ですし、webサイト関連の知識も学ぶことができました。

2つ目は、Code for Japanでのボランティアです。駐妻キャリアnetのFacebookグループで情報をみてボランティアに応募しました。ここではより自分の専門に近い仕事をさせていただいています。帯同したばかりのときは、これからのキャリアや今の自分の専門性について考える時間が嫌になるくらいありました。そのときに、自分がこれまで培ってきたもので人を支援することはやりがいがあるだろうと思い、はじめました。ここではチーム制で民間非営利団体(NPO)団体の支援をするため、今まで関わったことがない業界の人とも関わりが持て、日々刺激を受けています。

3つ目は、自己啓発です。具体的には、英語と自分の専門領域について勉強をしています。今後主人がどこに海外駐在になっても自分のキャリアを自立してつくっていくためにやっています。コロナ禍でビザが発給できず配偶者の方と国境をまたいで離ればなれになってしまったご家庭のお話を聞いて、家族が一緒にいることは大変奇跡的なことだと改めて気づき、大切にしたいと感じました。一方、主人は今後も海外駐在の可能性があるため、今後家族で一緒に生活するためには、自分のキャリアを自立してつくることが必須だと感じています。

理想の未来のために、オンリーワンを探究するキャリア

―最後に、本帰国後のキャリアやライフプランについて教えていただけますか?

復職を考えています。実際に復職をできた場合は、自分の仕事が今後行いたいことや、家族で一緒に暮らし続けるためにどう役立つかを考えながら働きたいです。そのなかで自分の専門性を磨いていきたいと考えています。

帯同前は主体性がなく、人事に言われたら昇格試験を受け、異動と会社が敷いてくれたレールに乗っていただけでした。しかし、今回の帯同経験を通して「自分のキャリアは自分で決めなければいけない」と感じました。そして、自分でミッションのようなものを持ち、専門性を深めていかないと、この先キャリアを自分でつくっていけないことを痛感しました。このことから、自分がなんのためにどう働いていくのか考えながらお仕事をしていきたいと考えています。

専門性については、ITにもプログラマーやコンサルタントなどさまざまな職種があり、それぞれ全く異なります。私が身につけた知識はコンサルタントに近いですが、コンサルタントを専門に行う企業での経験と全く等価ではないと考えています。そこで、メーカー勤務という背景知識を活かした自分のオンリーワンは何か、業務を通して考え、磨いていかなければいけないと感じています。

学生ライター感想:

「自分のキャリアは自分でつくっていかなければいけない」という言葉が強く心に響きました。興味のあることに飛び込んでみるM・Hさんの価値観に、前のめりなキャリア観が加わり、進化を遂げている様子を伺えました。

取材・文:渡辺璃香

 慶應義塾大学大学院社会学研究科/修士1年

校正:三浦梓

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