INTERVIEW

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プロフィール:大学卒業後、損害保険会社にて保険金支払業務を担当。結婚と同時に学習塾へ転職、講師業を経験。夫のアメリカ赴任に帯同し2017年3月よりアメリカオレゴン州在住。ポートランド州立大学大学院にてTESOL(英語教授法)専攻。ボランティアでTAをしながら、第二言語習得の理論やメソッド、社会言語学を学ぶ。

自分の「やりたい」に素直に向き合うこと、それがキャリアを築いてきた

英語教育をキャリアにするため、海外の大学院に進学した藤井祥子さん。そこに至るまでの道のりと葛藤、これからのキャリアについてお伺いしました。

“やりたいこと”を捨てきらずに

―海外転勤に帯同する前のキャリアやライフプランについて教えていただけますか?

学生のときは児童労働の問題に興味があり、非政府組織(NGO)でスタディツアーやインターンに参加しました。大学卒業後、国際協力の分野に就職を希望したのですが、門戸が狭く難しい状態でした。そこで、自分がなぜ国際協力に携わりたいのかを考えたとき誰かの支えになり感謝される状況にやりがいを感じることに行きつき、選択肢を広げて就職活動を続ける中で損害保険会社から内定をもらい入社しました。そこでは自分の志望動機をくんでもらえたのか、お客さまとの接点が比較的多い保険金の支払業務に携わりました。

しかし、社会人になってからも心のどこかに長期留学や国際協力への思いがあり、英語だけは勉強を続けていました。そして英会話教室に通っていくうちに「やっぱり好きな英語に携われる仕事をしたい」と思い転職を決意しました。

―どのようなお仕事に転職されたのでしょうか?

英語を生かせる仕事を考えていましたが、バリバリ外資系で英語を使って仕事ができるような英語力があるかと言われると難しかったので、自分の地域で見つかった学習塾の仕事につきました。小中学生に英語を教える仕事はとても楽しく、学生の気づきや理解のサポートができるところにやりがいも感じていました。しかしその1年後、夫に海外転勤のチャンスがめぐってきました。学習塾の仕事は充実していたのですが、この先ずっと働き続けるのか不安もあったため、仕事を辞めることにあまり未練はなく、アメリカに行く決断をしました。

自分の中にある矛盾との戦い

―海外滞在においてキャリアを意識して取り組んでいた事はありますか?

「最初からこれをやっていました!」と言えたらかっこいいのですが、私の場合は「これからどうしよう…」という状態からのスタートでした。新しい環境に慣れることもそうですし、仕事も所属も友達もいない状態、さらには得意と思っていた英語もいざ現地に来ると苦労することの方が多く、自分にできることって何だろうとたくさん悩みました。そのときの足掛かりとして見つけたことがコミュニティカレッジのESL。所属する場所があり、英語力をあげるという目標ができたことで生活にもハリが生まれ、知り合いも少しずつ増えていきました。順調に一番上のクラスまで進み、次どうしようか、というタイミングで先生からクラスでボランティアをしないか、と声をかけてもらいました。

今思えば、ターニングポイントとも言えるきっかけでしたが、そのときは英語教育を本気でキャリアにするとは想像できていませんでした。ただ毎回クラスで色々な生徒さんと出会うのが楽しかったし、英語学習の大変さがわかる分私の経験で助けになることがあれば、と思って引き受けたんです。やっていくうちに生徒さんが学習方法や進路についての相談までしてくれるほど慕ってくれるようになり、いつしか私にとって大好きな時間となっていました。それと同時に、痛いほど共感できる英語学習の悩みに対し明確なアドバイスができないことに非常にもどかしくも感じていました。かつての自分のように英語を学びたい人たちをきちんとサポートできるようになりたい、そう考えて大学院進学の道を選びました。

―学んでいく中で大変だったことはありますか?

一番苦労したのはマインドセットです。大学院に入ってからも「自分の英語はやっぱり全然足りない」と思っていました。これは客観的に見て事実のひとつですが、英語が母国語でない人に対して「間違っていい、アクセント(母国語の訛り)があってもいいんだよ!」と発信していく立場にもかかわらず、自分自身の英語力に引け目を感じている、という矛盾に気が付きました。これに気が付いたことはわりと最近でまだまだ戦っている最中ですが、ただ英語や学習方法を教えるだけでなく、ノンネイティブとして英語を使うロールモデルにもなっていこうと思えたのは成長だったと思います。

やれない理由よりやりたい気持ちを大切に

―この先のキャリアプランについてお伺いしてもよろしいですか?

大学院を卒業してその先をどうするのか、ということはまだ自分の中でいろいろ考えていますが、自分のコアなところは変わっていません。私が掲げる大きなビジョンは2つです。それは、「英語教育を通して、誰かの目標や夢の手伝いをしたい」こと。「ひとりひとり違うその人に合った、寄り添った英語学習を提供できる講師になりたい」こと。

ただ、同時に妊娠・出産についても考えていて、そうなったらどのように社会復帰していくかについては逆にいろいろな方々のお話を聞きたいと思っているというのが正直な気持ちです。

―最後に読者の方にメッセージを頂いてもいいですか?

ときに明確なキャリアパスが見えないと感じるときもあるかもしれませんが、どこにどんな出会いがあるかわからないのでたくさん行動してほしいなと思います。私がアメリカでやりたいと思ったことに挑戦できたのはたくさんの方のサポートもあってのことですが、同時に、やりたいことが見えない中でも行動していたからこその気づきや出会いが多かったと感じます。そして好きなことや興味のあることが出てきたとき、不安要素やできそうにない理由を数え出したらキリがないので、まずやってみる、その中で出てきた課題に一つ一つ向き合っていくのでもいいのではないかと思います。人生どの点と点が繋がるかわからないので、やってみて無駄なことなんてないはず。気になることには、一歩勇気を出して飛び込んでみてほしいです。

学生ライター感想:

藤井さんのとても素直な思いを聞かせていただけたと感じています。自分の「やりたい」にまっすぐに向き合う姿を見習いたいと思いました。

取材・文:村山彩

 筑波大学大学院システム情報工学研究科修士2年

校正:三浦梓

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