INTERVIEW

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プロフィール:父の死、音楽との出会いをきっかけに、音楽家への道を歩むことを9歳で決意。20代から海外でプロドラマーとしてキャリアを築く傍ら、建設コンサルタント会社に入社。パラレルワーカーになる。第一子出産後、都市計画分野の国家資格に合格。夫のアメリカ転勤に帯同し、第二子を出産。現在は、作編曲家として国内外で活動を展開中。

「好き」の力を信じることが、幸せな未来につながる

音楽家・都市計画家として活躍してきたMiyuki さん。産休育休からの職場復帰を諦め、アメリカ帯同を決意。現在はアメリカで2児の子育てをしながら、楽曲制作に取り組んでいます。

我慢と努力の末に波に乗ってきたキャリア、そんなときの帯同

ー帯同前のキャリアについて教えてください。

20代から海外ミュージシャンのツアードラマーとして、海外で演奏してきました。20代後半からは、音楽活動と並行して、発展途上国のインフラ開発事業に都市計画・交通専門家として従事し、海外駐在経験もあります。音楽家になることは、9歳の頃からの夢でした。父の死と音楽との出会いをきっかけに、音楽を通して人の心を癒やし元気を与えたいと思ったからです。高校卒業後、音楽の勉強を始め、20代半ばから音楽活動が軌道に乗ってきました。片親なので親の老後などを考えて、音楽以外の専門的な知識も身につけたいと、建設コンサルタント会社に入社。約9年間、日中は働き、夜はステージで演奏する「修行の日々」を過ごしました。

その後、ベトナムでの国際フェスティバルでプロドラマーになりたいという貧しい子どもたちに出会った経験から、会社での仕事に比重を置くようになりました。世界中の人々が音楽を楽しむ環境を整えるためには、社会基盤整備が重要であると再認識したからです。

ーその後の帯同までの経緯を教えてください。

30代前半、結婚直後に第1子を授かりました。子どもを授かった喜びと、やっと波に乗ってきた2つのキャリアが途切れる戸惑いのなかで、育休を取得。せめてもの思いで、都市計画分野の国家資格に合格。復職への準備を進めていたときに、夫の海外赴任が決まりました。帯同せず、日本に残ることも考えましたが、第1子が強く望んだため帯同を決めました。当時は、何とかつかんだキャリアが途切れてしまうことへの恐れ、悲しみ、悔しさでいっぱいでした。追い打ちをかけるようにコロナが大流行、ビザが発行停止になり夫は海外単身赴任状態に。キャリアどころか将来の見通しも立たなくなり、イライラが募る日々でした。しかし、このまま腐ってはいけないと思い、オンラインで子育て中のママを支援している方々とつながりました。講座に出たり、相談に乗っていただくうちに、徐々に自分を取り戻し、「女性、駐妻ってある意味好きなことができる」と思い、在宅で子育てしながらできる楽曲制作の仕事を始めました。会社員という安心安全な「保険」を手放したことで、自分の力で生きていく覚悟と、枠がとれた軽やかさが芽生えてきました。

キャリアで身につけたものは全て血肉となる

ー帯同中に行っていることを教えてください。

子育てと音楽の仕事をしています。コロナ禍に渡航し、移住して1カ月で第2子を出産。その後、就労許可証を受領し、楽曲制作の仕事を本格的に開始しました。日中は育児、夜中も授乳していたので、体力的にはきつかったですが、楽しくて仕方がなかったです。そして、会社で培った問題解決力、マネジメント力などのスキルがちゃんと自分の血肉になっていることに気づきました。目に見えるキャリアは手放したけど、目に見えないところでちゃんと自分の力になっていたのです。

※同じく元駐妻だった石川良美さん(※今回インタビューを受けていらっしゃいます)と制作した「Rhymoe – えいごのリズムがたのしいうた(英語音楽教材)」約75曲を6月にリリースします!海外の一流アーティストとの演奏経験、自分の音楽家としての力をすべて注ぎ込んで、英語を学ぶ子どもたちのために作りました。

ー海外生活を送る上で、意識していることを教えてください。

「駐在生活だからこそできる仕事」に勇気を持って挑戦し続けたいです。キャリアとしての「目に見える軌跡」だけでなく、スキルや教養としての「自分の血肉になるための投資」どちらも大切にしています。また、仕事で成果を出し続け、笑顔のママでいるためには、健康な心と体づくりが重要です。海外で生活しているというだけで、じわじわとストレスが溜まっていきます。瞑想やヨガで無になり、自分を取り戻す時間を取っています。そして、家族への感謝の気持ちを忘れないようにしています。

自分の心と対話し自由に生きる

ー今後のキャリアについて教えてください。

夫の駐在年数が未定なので、どんな状況にも対応できるように、音楽をより深く学びながら毎日曲を作り、世界各国に楽曲を発信するためのさまざまな準備を整えています。都市計画専門家としては、発展途上国のインフラ問題に常にアンテナを張りながら、グローバルで多様なキャリアを生かした社会起業家になる道を模索しています。そのほか、趣味で心理学、マザーズコーチングを学び、日々の家族とのコミュニケーションに生かしつつ、勉強を続けています。現地で関連する資格を取ってみることにも興味があります。

ー最後に、駐妻の皆さんにメッセージをお願いします。

キャリアが途切れない男性と比べて女性は損だと思っていました。でも、女性は、妊娠、出産、子育て、仕事、趣味を選びながら自由に生きていける、何だってできる、と今は思っています。心のコンパスを「好き」という気持ちに合わせることで、自分が満足できる幸せな未来につながっていきます。

学生ライター感想:

今の世の中ではどうしてもキャリアを作らなければ、考えなければ、と思ってしまいますが、自分の気持ちと向き合い、どう生きたいかを大切にしていきたいと思いました。

取材・執筆:渡辺璃香

 慶應義塾大学大学院 修士2年

校正:長崎亜弥香

文責:三浦梓

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