INTERVIEW

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プロフィール:大学院卒業後、キリンビ-ル入社。ビール醸造、マーケティングリサーチ、コーポレートブランディングに携わる。2020年より夫のアメリカ駐在に帯同中。現在は、渡米直前に出会ったダイバーシティ推進コンサルティング企業にてフルリモートで働いている。

女性が真に活躍できる社会を目指して -海外滞在中も行動し続ける理由-

今回は、現在アメリカにて駐在帯同中の岩永綾乃さんにお話しをお聞きしました。岩永さんは、日本にいたときに感じた社会への違和感を原動力に、真の女性活躍に向けて奔走しておられます。

バリキャリを目前にして帯同

―海外転勤に同行する前のキャリアやライフプランについて教えていただけますか?

大学院を卒業し、キリンビールに技術職で就職しました。そのときは、好きなものを扱える仕事をしたい気持ちが強く、その後のキャリアプランについては特に考えていませんでした。

ただ、就活をしているときから、技術系より事務系でお仕事をしたいと思っていたため、入社後は、社内でのキャリアチェンジを模索していました。その後、無事にマーケティング・リサーチ部門に異動が決まりました。それからは理系の強みも生かしながら、他の本社部門でもキャリアを積んでいきたいと思っていました。一方、2回の育休産休を経て、女性が本当に活躍できる会社に変えていきたいと考えるようになり、人事職に関心を持ちました。特に2回目の産休・育休のときに「自分はなぜ働くのか、復職するのか」を見つめ直し、「女性だけが休職する必要はないんじゃないか」などと思うようになりました。そこで初めて女性のキャリアや社会における立ち位置に課題意識を持ったんです。また、子どもが2人とも女の子なので、彼女たちには女性だからって悩む必要がない社会にしたいという思いも芽生えました。

産休育休が終わってからは、「2回育休をとってもここまでできるってことを証明したい」と強く意気込んでいたのですが、ちょうどそのとき配偶者の海外駐在への帯同の話がきて「これから頑張ろうとしているところになんで?」「何の相談もなくキャリアを中断されるなんて」と強い憤りを覚えました。

社会に対する違和感を仕事に

―次に、現在キャリアを意識して取り組んでいることについて教えていただけますか?

現在は、女性活躍推進を中心に、ダイバーシティ推進コンサルティングを行っている会社で働いています。この仕事そのものが、今後のキャリアを意識してやっていることだと思います。

産休や育休の経験、そして配偶者の駐在に帯同する経験から、会社や社会からの女性の扱われ方に納得がいかず、苦しかったんですよね。どうして大学院までは男女関係なく同じように過ごしてきた人と差をつけられないといけないのか。女性のキャリアの可能性ってまだまだものすごく狭いし、配偶者によって影響を受けるし、おかしいと改めて思ったときに、女性のキャリアに関連する仕事をしたいと思ったんです。それから、帯同まで少し時間があったので、その間にキャリアコンサルタントの勉強をした結果、現在の仕事につながりました。

あとは、英語を頑張りたいです。そのためには時間もお金も必要だけど、アメリカに来て良かったと思えるようにするための環境は自分で作らないと誰もその環境を与えてくれないということに気づいたので、自分の時間をとるために金銭的なコストをかけることもあります。

すべての経験を糧に

―最後に、この先のキャリアやライフプランについて教えていただけますか?

まだ全然考えていないんです。決めたところで思い通りにならないことを何度も経験してきたので、将来のことを決めすぎると苦しくなるんですよね。

でも海外に来たからこそ選択肢が広がったことは確かなので、駐在帯同経験がなかったらできなかったことを基準に選択していきたいと思っています。自分の経験すべてに意味を付けるために、自分の経験を活かす方向ですべてを考えたいんです。だから、何か自分の経験を生かせる道がある場所で働き続けたいです。

―読者のみなさんにメッセージがあればお聞かせください。

「自分のため」ということをもっと考えてほしいなって思っています。「旦那さんや家族のために」っていう軸で動くことも素敵なことなんですけど、自分の気持ちにフタをした状態ではいつか不満が出てくると思います。だから、「自分が旦那さんを支えたい」と思うなら良いですが、「旦那さんを支えないといけない」とは思わなくて良いと思います。「自分はどうしたいか」という部分に向き合わないと、あとで自分が苦しくなると思うので、もう少し自分の心に寄り添う時間を作ってみても良いと思います。

学生ライター感想:

環境変化に揺さぶられたり、社会からの無言の圧に押されても、自分が選んだ道を正解にするために行動し続ける姿から、強さとしなやかさを感じました。そして、そんな岩永さんの姿勢に勇気づけられ、女性が仕事をする上で抱える様々な問題を解決すべく、私も何かアクションをしてみたいと思いました。

取材・文:渡辺璃香

 慶應義塾大学大学院社会学研究科/修士1年

校正:中山斉奈

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