今、目の前にあることを大切に
プロフィール:横浜国立大学卒業後、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)にて、法人営業を経験。結婚と妊娠を機に退職し、フリーランスとしてのキャリアをスタート。2020年夫のベトナム駐在に帯同。現在はライフキャリアコーチとして活動する傍ら、転勤族の女性向けのキャリアコミュニティの運営も行なっている。
今、目の前にあることを大切に
ベトナム転勤に帯同、一時帰国中の山口由香子さん。やりたいことが見つからない期間を経て、人々のキャリア支援を行うフリーランスコーチになるまでの道のりとこれからについてお聞きしました。
楽しさとストレスの板挟み
ー海外転勤帯同前のキャリアについて教えてください。
もともとやりたいことや夢は特になく、唯一興味があることがファッションでした。しかし衰退産業、かつ専門性の必要な業界であることから、好きなことよりできることに焦点を当てることに。結果、ご縁のあった人材系の会社に入社し、ファッション業界の企業様の採用支援を行っていました。ファッションに関わることができ、とても楽しかったのですが、入社後の社内のいざこざや早期退職等のトラブルを数多く経験し「自分の仕事って誰かのためになってるのかな」と悩む日々でした。そんな中、転勤族である主人と結婚、そして妊娠を機に退職しました。
ーその後はどのように過ごしていましたか。
大変だった子育てが落ち着いてきて仕事をしたいと思ったのですが、職が決まらないと保育園が決まらず、またその逆もしかり。初めから時短勤務で働くとなるとさらに就職するのが難しいのが現実でした。悩んでいるところに前職の関係者から業務委託で仕事を手伝ってほしいと話があり、フリーランスという働き方を知りました。最初は税金も開業もわからないし無理だ、と思いましたがやってみると「意外といけるな」と感じ、自分に合っているように思いました。
挑戦の連続が今の仕事に導いてくれた
ーその後海外転勤に帯同されたとのことですがその間もお仕事をされていましたか。
今までの仕事の契約は全て手放してコーチングの仕事をしていました。ベトナムでロックダウンとなり子どもの預け先がなくなってしまい、主人と協力してやっていたのですが、それも難しく、2021年8月末、私と子どもだけ一時帰国することにしました。
ーコーチングを学ぶきっかけについてお聞きしてもいいですか。
2020年12月、ベトナムに来て2週間のホテル隔離で自己分析や自己理解を深めたときに、自分は「その人やその会社ならではの価値を発揮する」ことを大事にしていると気が付きました。また、直前までWebデザインの仕事をしていたのですが人と話すことが少なく、もっと人と話す仕事をしたいと感じました。「人と話す」かつ「本来の価値を発揮するサポート」をする仕事ということでコーチングを学ぼうと思いました。
ーやりたいことが見つかった要因は何だったんでしょうか。
「とりあえずやってみる」を続けたことだと思っています。フリーランスにしてもデザインの仕事にしても今に至るまで挑戦の連続で、それらが全部つながってコーチングにたどり着きました。自己分析でわかる範囲でも、職種名でもなくて、やってみることで「この仕事のどの部分が好きで逆に何が嫌いなのか」が分かると見えてくるものがあるのかなと思います。
今、ここでしかできない経験を楽しむこと
ー今後のライフプランについて教えてください。
2022年3月にベトナムに戻るので、ベトナムでしかできない経験や人との出会いを大切にし新しい価値観に触れることで自分自身をアップデートしていきたいです。その中で、家族との時間など自分にとって大事なものはぶらさずに心の満足を高め、自分の人生の基盤を整えることが今の自分のテーマでもあります。
日本に帰ってからは人生における大事なものを大切にしながら生きることを支援するサービス、事業の立ち上げや拡大を考えています。自分で立ち上げるのか、サポートをするのかはわかりませんが、人生という大きな意味でのキャリアや人と人とを繋ぐ仕事にはずっと携わっていたいと思っています。
ーこれから駐妻になる人に向けてメッセージをお願いします。
将来の不安や焦りがあるかもしれませんが、自分の身の回りや過去を振り返るとその人にしかない価値が絶対にあります。それを信じて今の自分の人生を楽しむことにフォーカスしてほしいです。その瞬間にしかできないことがきっとあって、それがつながっていくはずなので。考えてしんどくなるくらいなら今あるものに目を向けてそれを育んでいくことを大切にするといいのではないかと思います。
学生ライター感想:
すべての挑戦が今の自分に繋がっていると捉える山口さんの考え方が素敵だなと思いました。また私自身興味のあるコーチングについてもお聞きできて実りある時間でした。
取材・執筆:村山彩
筑波大学大学院 修士2年
校正・文責:三浦梓