INTERVIEW

  1. HOME
  2. ブログ
  3. インタビュー
  4. 様々なバックグラウンドを持つ人々と共に

様々なバックグラウンドを持つ人々と共に

プロフィール:大学卒業後、総合電機メーカーに入社し一貫して人事を経験。研究部門の職場人事や全社の新卒採用などに従事。2020年夫のドイツ赴任帯同を機に育休中に退職。

様々なバックグラウンドを持つ人々と共に

大手電機メーカーで人事を担当された後、2020年からドイツに帯同されている遠藤有希さん。今回は帯同中の心情変化やお仕事内容について詳しく伺いました。

多文化の中の自分 日本の良さを海外へ

―最初に、海外に興味を持ったきっかけについて教えてください。

小学校1年生から5年生までフランスで育ったため、幼い頃から海外が身近な存在でしたし、日本人であることを意識する環境にいました。クラスメイトには多様な国籍・バックグランドの友人がいて、お互いが異なることが当たり前でしたし、必然的に多文化を意識する生活を送っていました。

―総合電機メーカー就職し、研究部門人事や全社の採用担当を担当されました。実際に働いてみていかがでしたか?

過去の自分の海外生活経験もあり、日本の技術力や商品を通じて世界中の人々の日常を豊かにする仕事に携わりたいと思い、入社しました。最初の配属は研究部門の人事でした。会社の新規事業を担う頭脳集団が集う組織で、組織編成・風土醸成・社員の異動調整から昇格まで、幅広い業務を担当させていただきました。その後、全社の採用部門へ異動し、主に新卒採用を担当していました。入社当時は海外営業志望で人事の仕事はあまり具体的にイメージできなったのですが、社内外の多くの人と関わりとにかく「人」のことを考える人事の仕事は、自分にあっていたようにも感じています。

様々なバックグラウンドを持つ人々と共に

―2019年育休中にドイツへの帯同が決定。退職し2020年2月に帯同されました。帯同についてどのようなお気持ちでしたか?

帯同決定時は育休中で、仕事から少し離れている時期でした。ネガティブな感情が4割、ポジティブな感情が6割くらいでしょうか。ネガティブな感情を持った理由は、これまで人生の大きな軸だった仕事を失うことへの不安からだったと思います。仕事がなくなり、今後の自分のキャリアへの不安もあって、大きなものを失う気持ちでした。一方で、ポジティブな感情を持った理由は、海外生活は家族にとっても私にとっても長い人生において、とても貴重な経験になると思ったからです。また帯同は、人生をリセットして、子育てをしながら自分の人生に対して考える良い機会だとも思いました。

―現在の主な活動について教えてください。

日本の認定特定非営利活動法人 (NPO)に加入し、日本にいる主に難民の大学生を対象とした就労支援を行っています。完全プロボノなのですが、「すべての人にチャンスを」というビジョンに強く共感し加入しました。また、フリーランスとして日本のベンチャー企業の中途採用業務の支援を行っております。候補者の方の選考等、人事の仕事をフルリモートで行っています。

―その他の活動について教えてください。

ドイツの駐妻コミュニティに所属しています。帯同で悩みもがいている同じ境遇の駐妻達とキャリアについて話すことができるのは、とても大きな支えです。心の平安を保ち一歩踏み出す勇気を与えてくれる大切な存在です。

また、ドイツ語の語学学校に通っています。日本ではあまり知り合えないアフガニスタンやシリア出身の方がクラスメイトで、ドイツだからこそできる貴重な経験ができていると感じています。

自分への深い理解を人事の仕事へ

―今後、帯同中にやりたいことはありますか?

とにかくこちらの生活をエンジョイしたいです。ドイツの自然に沢山触れ、家族の時間も楽しみながら、今自分が行っている様々な活動も、あまり将来から逆算せずに、味わえたらなって思います。今後の人生また色々変化すると思うのですが、継続してやっていきたいのは、自分の気持ちを振り返り言語化する時間です。自分と向き合う時間が心を安定させ、アクションにつなげてくれると思うので。

―日本に本帰国した時にやりたいことはありますか?

現段階では決められないことも多いのですが、自分の中で送りたいライフスタイルはなんとなく見えてきています。家族との時間も大切にしながら、私個人としての仕事や活動を通じて、世の中とつながり、社会に役立つことができればいいなって思います。まだ具体的なことは何にも決まっていませんが、その時々で自分の納得の行く選択ができればと思っています。

学生ライター感想:

フランス時代に抱いた多文化への興味と自分に対する深い理解が人事の仕事や母親としての遠藤さんに繋がっていると思いました。遠藤さんが「安全地帯」と説明されていた駐妻のコミュニティで、私のインタビュー記事が駐妻の方々の一助となれば幸いです。

取材・文:橋口琴音

 津田塾大学学芸学部国際関係学科/学士3年

校正:長崎亜弥香

関連記事