INTERVIEW

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プロフィール:大学卒業後、伊藤忠商事に入社し15年間人事部(内2年広報部)に在籍。グローバル人材戦略、海外駐在処遇等に従事。NYへ子連れ駐在も経験。現在「こうあるべき」と言う考えに縛られている女性を解放し、より幸せに人生を送るサポートがしたいとの思いから、パーソナルコーチとして新しいキャリアを築くべく、準備中。

自分の人生を生きてみたい、アメリカ移住を機に15年働いた商社からキャリアチェンジ

家族でのアメリカ移住を機に新卒から15年間勤め上げた伊藤忠商事からの退社を決意した稲本清華さん。現在は、より自由に自分の人生を生きるためにやりたいことを真剣に考え、コーチングの勉強をなさっています。

伊藤忠での15年

―アメリカ移住の前はどのようなキャリアを歩んでいたのですか?

2005年に伊藤忠商事に入社して、約15年間人事として働きました。基本的には、人事の仕事のなかのいくつかの業務を2、3年でローテーションしながら働きました。特に、グローバル人材戦略、海外駐在処遇やダイバーシティ推進に大きく関わりました。また、関連会社への出向や、当時3歳だった娘を連れて海外駐在(アメリカ、ニューヨーク)も経験しました。

―15年という長い時間を費やしてきた伊藤忠商事を辞めるきっかけは何でしたか?

夫との再婚を機にアメリカに移住する決断をしたことが、退社のきっかけになりました。会社は私をニューヨークに駐在させる予定だったので、辞めずに移住することもできました。しかし、このタイミングで辞めずにいたらずっと決心できないだろうと思い、退社する決意をしました。

人事として、母親として感じてきた息苦しさ

―会社を辞めたいという気持ちはずっと持っていたのですか?

はっきりと辞めたいという気持ちは持っていませんでした。しかし、もっと「自由に働きたい」という思いは強くありました。伊藤忠商事は良い会社で、居心地の良さもありましたし、常にチャレンジしている感覚もありました。しかし、人事として、そして母親として働くことを通して、会社だけではなく日本社会そのものに根付いている「あるべき論」に強く圧力を感じていたんです。

人事としては、あるべき姿を思い描きながら仕事を進める部分があるため、自分自身が模範的な社員であるべき、と強く考えていました。年次的にこのくらいの仕事の仕方をするべき、総合職なんだから常に自分に責任がある可能性を考えるべき、など。また母親としては、専業主婦のママ友と比較して、娘との時間が全然取れていないことに罪悪感がありました。私がベビーシッターさんに子どもを預ける時間が長いことを周りの人に心配されたりしました。一方で、子どものために早く帰宅すると、他の皆はまだ働いていることに対して罪悪感を感じてしまったり、バリバリ働いている同僚と比較して、焦ってしまったりしていました。

このように、自分自身が人事として、そして女性としてのあるべき論に圧力を感じすぎていて、それが苦しく、もっと周りを気にせず、自分のペースで自由に働きたいという思いを持っていました。

―実際に会社を辞めて、アメリカに移住してからは、解放されましたか?

はい、現在は完全に自分でコントロールできる状況なので、縛られている感じはありません。また、コーチングをしたり勉強したりするなかで、今まで感じてきた圧力は自分が思い込みすぎていた部分もあったことに気づけました。これからも自分で働く量や場所をライフステージなどによってコントロールできる働き方をしたいと思っています。

今後の働く女性に向けて

―具体的に今後はどのようなお仕事をする予定ですか?

コーチングを通して、過去の私と同じように日本社会の固定概念や自分のまわりの常識に縛られて苦しい思いをしている女性を救いたいという思いがあります。日本社会は、女性、特に働く女性やお母さんにとって非常にプレッシャーが強い環境だと感じるので、そこを楽にするお手伝いができたらと考えています。

―キャリアに悩む女性に向けてメッセージがあればお聞かせください。

自分の人生をどのような感情で過ごしたいか、そのためにどのような選択肢があるかを考え、認識することが大切だと思います。どうしても「才能」と言うと、誰よりも突き抜けているもの、とイメージしてしまいますが、やっていて得意なこと、好きなこと、考え方など複数要素の掛け合わせて、ひとりのオリジナルな才能が生まれると思っています。とにかく自分がやりたい、これをやったらきっと良いとていうことを信じて、持っている才能を社会に活用し、幸せを感じながらキャリアを築いて行ける人が増えたらいいなと考えています。

学生ライター感想:

長年のキャリアを捨てる決意をすることは非常に難しいと思いますが、その決意をさせるほどまだまだ日本社会において女性が働くことの難しさは残存しているのだなと感じました。

取材・文:渡辺璃香

 慶應義塾大学大学院社会学研究科/修士1年

校正:長崎亜弥香

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