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大塚早葉さん

フリーランスを切り口に自分らしい働き方を見つめる

こんにちは、振井蘭(フリイラン)です!
前回のインタビューからフリーランスとして働こうと求人サイトに登録して、少し仕事を始めてみた私。けれど、帰国後を見据えてこのまま続けるのか悩み、第3回目は現在香港在住で、フリーランサーとして活躍されている大塚早葉(おおつか さよ)さんに相談してみました。

大塚早葉(おおつか さよ)さんプロフィール

2020年9月末から夫と息子(当時3歳)と共に香港へ移住し、現在はスタートアップを中心に3〜4社にフリーランスとして関わる。以前は、丸紅(海外営業、台湾駐在)・Wantedly(BizDev)・メルカリ(PR)と様々な業界・職種での経験を積む。香港移住をきっかけに独立、フリーランスへ。

なぜ駐妻フリーランサーに?


こんにちは、今日はお会いできるのを楽しみにしていました!まず早葉さんは昨年9月末から香港に帯同され、どのようにフリーランスとして仕事を始められましたか?

早葉さん
香港移住前は「香港で暮らし始めたらすぐに仕事開始する!」と意気込んでいたのですが、実際にいってみると仕事そのものをする環境を整えることが大変でした。朝から晩まで子どもを預かってくれる日本の保育園と違い、香港のスクールは預かり時間が3時間程度で、さらにコロナという不確定要素も加わり、ヘルパーさんを雇わないと仕事ができないと実感しました。そこで11月~12月にかけて家事や子育てなどサポートしてくれるフルタイムのヘルパーさんを探し、良い人に巡り合えたので、今年1月から来てもらいました。その後、本格的に仕事を開始しました。


フリーランスとして働くことは決められていたのですか?

早葉さん
香港に来た直後は、現地企業に就職することも視野に入れていました。けれど、香港はマーケットの特徴として金融系の仕事が多く、私自身が興味のあるテック系で魅力のある仕事は、見つかりませんでした。一方で、同時期に知り合いやSNSを通して「一緒に働きませんか?」と連絡を頂いた仕事に魅力を感じたので、日本企業の広報・PRやアジア進出のサポートにフリーランスとして従事することを決め、今年の1月に香港で個人事業主登録を行いました。前職であるメルカリの退職時に、自分の現状をnoteに書いて発信したのですが(注1)、その記事を見たとある会社の社長がTwitterを通して連絡をくれ、香港に行く前から副業感覚での仕事はしていました。そのこともあり、フリーランスになるイメージはなんとなくついていたんです。


なるほど、香港の状況も相まって巡り合わせでフリーランスとして働き始められたのですね!既に引き合いが来ていたとは、きっと早葉さんの前職のご経験・ご活躍を評価されてのことでしょうね。

早葉さん
スタートアップ・ネット業界の情報がオープンで早いという特性もあったと思いますが、フリーランスになって「これはやっておいてよかったな」と思ったことがあります。それは、実際に働いている時にバリューを出して「また一緒に働きたい」と思ってもらうことはもちろんなのですが、それに加えて、自分の経験をSNS上で定期的に発信することの大切さです。そうすることによって、一緒に働いた同僚やパートナー以外の人にも「こういう人なんだ」と理解してもらえて、声を掛けてもらいやすくなるんですよね。今までの経験を棚卸してまとめておくこと、そしてその時その時に与えられた仕事に向き合い、信頼を得ることが大切だなと感じています。

フリーランスのメリット、デメリット


フリーランスとして働かれていて感じるメリットはどんなものがありますか。

早葉さん
時間を自由に使えることが、一つの大きなメリットだと思います。私は今、毎朝6時に起き、7時に子どもをスクールバスに乗せて、マンションのジムで夫とワークアウトしてプロテインを飲んで(笑)9時前には仕事開始。子どもが13時に帰ってくるので、その時間に合わせてヘルパーさんがランチを作ってくれます。お昼の予定がなければ、子どもと一緒にご飯を食べて日本語を教えたり、その後は仕事に戻ったり、空いている時間があれば友人に会ったり、香港に来てから始めたムエタイやワインを習ったりしています。フリーランスとして場所や時間を自由に切り替えられることに、香港ならではの「ヘルパーさんに頼れる」というメリットが相まって、日本にいたときよりも、生活に仕事以外の要素を多く取り入れられていると感じています。また仕事の面で言うと、一社だけでなく同時並行で複数の会社で、プロジェクトを回せることが面白みの一つだと思います。経験の幅も広がるし、それぞれの会社の良い部分を学ぶことができるのがメリットかなと。


なるほど!デメリットについてはいかがでしょうか。

早葉さん
私は特に日本の仕事をリモートで受けているため、デメリットはface to faceで一緒に働ける同僚・仲間が少ないことですね。私は仕事をするとき、一緒に働く人がとても重要なタイプです。オンラインでもコミュニケーションは取れますが、切磋琢磨した後にリアルなコミュニケーションがないのが少し寂しいです。ただ、香港の駐妻の方で、ボランティアとして「仕事手伝えませんか?」と言ってもらえることもあるので、何か一緒にできないかなと考えています。香港支部的な?(笑)


その人にとっても貴重な経験値になりますね。その意味では仲間を作ろうと思えば作れるのでしょうか?

早葉さん
香港の会社で働いて香港で同僚が作れたらなという思いもあります。ただ、こういう発言を周囲にしていたら、香港のあるビジネスにも関わらないかという話をいただいたりもしていて。繰り返しになりますが、オンライン/オフラインともに発信することって大切だなと改めて思いました。


できないと諦めないで、できる方法を考えてアクションする姿勢が素晴らしいです!

フリーランスになってキャリアは変わった?


フリーランスになってキャリアに変化を感じることはありますか?

早葉さん
PRの仕事に関していうと、前職メルカリでのやり方はメルカリだからこそ成果を出せたのかもしれないと思っていたところもありました。けれど、実際にとあるスタートアップの会社でPRとして仕事をしたら、良い成果を出すことができ、フリーランスでは珍しいことなのですが、昇給までオファーしてもらったんです。その経験が自分のキャリアに対する自信に繋がりました。


これまで1社だけに勤めていたら気づけなかった、ポータブルスキルが明確になったのですね!昇給までとは、そこまでの価値があるということですね、素晴らしい!ただ、フリーランスだと正社員で働くこととは違って、未来が見えないことに対して不安を感じませんか?

早葉さん
確かに、今私自身、帰国後どうしたいのかまだわかりません。ただ、今から帰国後のことを考えるよりも、香港での生活に100%気持ちを集中させたい。今進むべきことにフォーカスした上で、変化すべき時が来たらまた柔軟に目標を新たに作っていくんだろうと思います。見えない未来を、今から決めるのではなく自由に作って行けたらなと思います。


その「見えない未来を自由に作る」感覚はきっと日本に帰国されても早葉さんの中に残っているんでしょうね。

早葉さん
そうですね、以前は「正社員」以外の選択肢は考えてもいませんでしたが、香港に来て自然と「フリーランス」という働き方になったように、今後もフレキシブルに未来を作っていきたいと思います。 

まとめに代えて〜フリーランスにチャレンジされる方へ


とはいえ、私も含め帰国後に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。正社員なのか?フリーランスなのか?など、どういう基準で判断・行動すればいいかわからなくなることがあります。

早葉さん
自分が今目線なのか、未来目線なのかどういうタイプなのかによるかなと思います。私は、香港のビザ(※配偶者でも就業可)や税制メリット、またヘルパー制度などを考えて、「今こうしたい!」という目の前のことを大事にする目線で動いています。一方で、ビザによる規制等から、ターゲットを帰国後にして、「こうなりたいから、そのために今は準備期間にしよう」という人もいて、私の友人にも海外駐在中にMBAを取ると決め、首席で卒業した人がいました。何をするにしても、大事なのは、自分自身の納得感です。自分で決めたことは言い訳できないから。


家族のことも大切にしたいし、今を大切に謳歌したいし、キャリアも無駄にしたくない。自分の気持ちに正直に受け止めていきたいですね。

早葉さん
私なんて香港で味わえる自由な時間を謳歌しようと、ちょっと前まで金髪にしていました。この髪型の時は、誰からも日本人に思われなかったです(笑)


そうなんだ!まさに謳歌してますね!(笑)


最後にこれを読んでいる方へのメッセージがあればお願いいたします。

早葉さん
以前、「専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと」の著者である薄井シンシアさんのTwitterで「今、仕事のことで、焦っている駐在妻。人生の宝くじに当たっていることに気づいていない。残念。」という呟きがありました。その時これは、シンシアさんだから言える言葉だなと思ったんです(※注2)。「宝くじに当たった」ってシンシアさんが言えるのは、ご自身が自分で考える幸せに向けて努力したからこそ、この発言ができるんだと思うんです。駐在の帯同は、自分の努力次第で宝くじの大当たりに変えることもできるし、当たったことにも気づかないで終わるってことも両方の可能性がある。もちろん、働くことだけが正解とは思っていません。どういう未来を自分で作りたいのか。どういう生活をしたいのかをちゃんと自分に問いて、そこから出てくる答えに近づく努力をしたらみんなが納得しもっと幸せになるのかなと思います。そして、その選択肢のなかの一つに、働くという領域があるならフリーランスという選択肢もありだよ、とお伝えしたいと思います。


そうか、私たちは宝くじのように貴重な機会を生きているんですね。そして、自分のキャリアについて核心をつく問いを立てるということ。今日は力強いメッセージ初め、たくさんの学びを共有していただきありがとうございました!

※注1:PR未経験の私がメルカリ広報として過ごした濃厚な4年間とこれから

※注2:薄井シンシアさんのツイート

(企画・インタビュー・編集:坂本智子、編集:竹下真輝、校正・デザイン:中山斉奈、監修:秋元かおる、三浦梓)

ー インタビュアー 

振井蘭(フリイ ラン)

ブラジル駐在歴1年。中堅自動車メーカー営業企画8年経験後、夫の駐在帯同のため退職(夫も同じ会社)趣味は海外旅行。フリーランスに興味はあるが、手に職がないので二の足を踏んでいる妊活中。
※注 架空の人物です。

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