「信頼」が新しい一歩を踏み出す勇気に エール株式会社 北村勇気さん 後編
駐妻のキャリアについて、気になる人にインタビュー。
前編はエール株式会社の北村さんにYeLLのサービス内容、駐妻経験中に培ったコミュニケーションスキルは強みになることについてお話頂きました。
後編はエールの自由で柔軟な社風や北村さんご自身のパラレルキャリアについてお聞きしてみたいと思います。
インタビュー前編はこちらから!
ー エールでは外部の方が参加できる定例ミーティングがあり、エールのスタッフが時間的にできなかったり、スキル的にできなかったりする業務を外部の方が「それ、やるよ!」という感じで業務を受託しているとお聞きしました。
その自由で開かれた社風と、柔軟に仕事の切り出しができることに大変驚いたのですが、具体的にはどのような仕事を外部に委託されているのでしょうか?
基本的には、どんなお仕事でもお願いしています。サポーターもそのうちの1つです。他には、サポーターと日程調整をする仕事、サポーターの研修を作る仕事、サポーター説明会を行う仕事、エクセルで性格データの解析をする仕事、資料を英訳する仕事など、多岐に渡りますね。むしろ、弊社の業務全般です。
正直、弊社では「外部に委託する」という考え方があまりありません。というのも、「内部」と「外部」に分けることに意味はなくて、大切なのは「どんな世界を創りたいか」。なので、弊社で一緒に働く人の共通点は、ビジョン「働く楽しさがつながる世界」と、ミッション「社員と企業を仲間にする」に共感しているということ。その上で、それぞれの「YeLLの業務に使える時間」と「持っているスキル」と「個人的にやりたいこと」を前提にした上で仕事を分担しています。
珍しいやり方だとはよく言われます。でも、これからは「契約」の時代ではなく「信頼」の時代だと思うのです。1人1人の気持ちや考え方を尊重しながら、信頼関係をもとに働くことが、これからの働き方だと思います。せっかくエールという会社の旗に集っているのだから、みんながみんなの人生にエールを贈るような、そんな働き方を全員で実現できたらいいですね。
ー 仕事を外部に切り出す際は、「業務委託契約を結んで依頼する」という形式が一般的なように思うのですが、エールでは異なるんですね!
ビジョンやミッションに共感した人が集まり、お互いが信頼して仕事を分担する。
とても理想的な働き方で素敵だなと思うのですが、どのようにして、そのような信頼関係を築いているのでしょうか?
また、業務を進める上で大切にしていることがあれば教えてください。
信頼関係を築くために、私たちはいつも深い対話を意図して行なっていますね。
ビジョンとミッションに共感している、と言ってくれること自体とても嬉しいことです。そこからさらに、いろんなことをお互い質問しあっていきます。
「なぜエールに共感しているのか」「今までどんな人生を送ってきたのか」「これまでで一番熱中したことは何なのか」「これからどんなことをしていきたいのか」などを切り口にしながら、質問で話を深めていきます。そんな場を意図的に設けることでそれぞれがどんな人なのかを知ることができます。そのお互いを知っている深さの度合いが、信頼関係に繋がっていると思っていますね。
また、業務を進める上で大切にしているのは、自分から信頼し、相手のために何ができるか、というスタンスを全員が持つことでしょうか。言い換えると、「自分から自分の内面を伝え、そして相手のことを理解しようとすること」「相手が困っていることや悩んでいることに対してどんなGIVEができるかを常に考えること」です。まさにYeLLのサービスで行なっていることそのものですが、それを自分たちでも実践できるように意識しています。
ー 前編でも「相手のために自分は何ができるか」がキーワードでした!
エールでお仕事をする皆さんもそれを実践されているからこそ、外部や内部といった考え方が関係ない働き方が可能になるのですね。
ところで北村さんはエールでのお仕事以外に、大学院で研究されたり、伝統文化に関するお仕事もされているとお聞きしました。
どれも大変興味深く、まさしくパラレルキャリアを体現されているのですね!
あまりパラレルキャリアを意識していたわけではないのですが、気がついたらそんなことになっていました。笑
YeLL以外では、主に2つのことをしています。1つ目は大学院での研究。2つ目は伝統文化に関わる活動です。
大学院では日本の「幸福学」の第一人者である前野隆司教授(*)の研究室に属しています。私の研究テーマは、主に「コミュニケーション」「感情」「行動変容」。
まさにYeLLと合致する研究をしています。
(*前野隆司教授についてはこちら:http://www.sdm.keio.ac.jp/faculty/maeno_t.html)
大学院にいるのは、それらのテーマをさらに学術的に深掘りしたいと思ったからですね。
YeLLを始めた理由でもあるのですが、私は高校時代に横浜の中高一貫の男子校に通っていました。学外では数百人規模の学生団体の幹部をしていたのですが、人間関係が原因で精神的に潰れてしまったことがあります。その精神状態はしばらく治りませんでした。でも数年後に、救ってくれた友人たちがいました。「お前は自分が1人だと思っているかもしれないけど、俺らは友達だと思ってるから。なんでも助けるから。」って言ってくれて。本当に嬉しかったですね。そこから、前を向いて歩けるようになりました。
その経験から、「どんな人でも、1人でも信頼できる人がいること。その信頼が、その人の新しい一歩を踏み出す勇気の源になる。そして自分は、そんな世界をつくりたい。」、と思うようになり、今に繋がります。
伝統文化については、数十年、数百年続く家に生まれ伝統芸能や工芸を仕事にされているアーティストの方々のお手伝いをしています。
主には、コミュニケーションを通してのメンタリング支援や、マーケティング支援ですね。 今はどんどん日本の文化が廃れていってしまっている時代です。後継者も減っています。でも、私はそれが嫌で嫌で。
幼少時から茶道や華道などの伝統文化が身近にある生活をしていた私としては、日本の文化はとても大好きなものです。それがなくなる、衰退するだろうと言われていることを知った時は怒りの感情が湧き起こりましたね。
そこで思い立ち、始めたことがあります。日本の文化の後継者たちと一緒に、その文化の本質は変えずに、時代に合わせて変化させ続ける文化をつくることはできないか、そんなことを考えて新たな取り組みを仕掛けてみる、そんな団体の代表理事をしています。
YeLLも研究も伝統文化も、バラバラなことをしているように見えるかもしれません。でも私にとってはすべて共通しています。
それは、「(人も組織も文化も)過去の系譜を、未来に再適合させる」こと。言い換えると、「本質を抽出して、それを未来に向けて昇華させる」ことです。それをライフワークだと考えています。
ただ、真面目な感じで話していますが、単に全部すごく大好き、というのも大きな理由ですよ。笑
ー エールの事業と大学院での研究は深く結びついているんですね。
伝統文化の取り組みは、エールでのお仕事とは関係が無いように思っていたのですが、人や組織、そして文化をより良く変えていく、という点での共通点があり、そこがまさに北村さんのライフワークなのだと分かりました!
前編に北村さんがおっしゃっていた「好きなことにこだわりを持って取り組み、それをキャリアに繋げる」ことへのヒントをもらったように思います。
最後になりますが、駐妻への応援メッセージがあればお願いします!
昨年、出張で行ったタイ・シンガポールで、多くの駐妻の方々とお会いしました。
YeLLに関してご意見うかがいたくて友人経由で紹介してもらっていたのですが、印象的だったのは皆さんの笑顔。
「突然だけど大丈夫かな、、」と心配していた私の不安をすぐに吹き飛ばしてくれました。 日本とは異なる環境にいて、ご自身のキャリアやこれからの働き方、生き方に関して考える機会も多いと思います。
今までは道が限られていて、考えることすら難しかったかもしれません。でも、これからは可能性のある道が増えていきます。テクノロジーが発達し、働き方の概念が変化し続けます。
今回はエールでの取り組み、そして私個人の考えをお話しさせてもらいました。「こんな事業をやってる会社があるんだ!」「こんな働き方があるんだな」と、少しでも皆さんのお役に立てる情報であれば嬉しいです。
もし何か私かエールでお役に立てることがありそうでしたら、いつでもご連絡ください。そして、もしエールと同じ方向に歩んでいこうとしていた方がおりましたら、ぜひお声がけください。何かご一緒できれば嬉しいです。 ありがとうございました!
<インタビューを終えてみて>
駐妻の強み、コミュニケーション能力の高さについてお聞きするつもりで始めたインタビューでしたが、お話をお聞きするうちに、エール株式会社と北村さんご自身の魅力に引き込まれ、前後編と2回に分けてインタビューをお届けすることになりました。
雇用形態や場所を問わず、ビジョンに共感する人々が集い、それぞれが信頼関係を元に働く。
この姿がとても新鮮で魅力的。この新しい働き方は、ブランクができてしまった駐妻にとっても、たくさんのチャンスがあるのでは?と思います。
また、「好きなことやこだわり」は一見繋がっていないようでも、深く掘り下げてみると今までの生き方の中に繋がっていることがあるかもしれません。
既成概念に捉われず、自由な発想でこれからの働き方を考えてみるのも楽しいですね。
(担当:秋元かおる、金村彩香)
「働く楽しさがつながる世界」をビジョンに掲げ、「クラウド1on1 YeLL」を企業向けに提供。コミュニケーションに長けたクラウドサポーターが週1回の1on1を行うことにより従業員の新たな行動変容を支援。その新しいビジネスモデルが評価され、2017年9月に行われた『NRI ハッカソン「bit.Connect」Hack for Workstyle』にて、参加39団体の中から最優秀賞と野村ホールディングス賞を受賞。2018年7月に行われたHR Tech GPにてファイナリストになっています。
HP:https://www.yell4u.jp/