次なるキャリアに向かって
プロフィール:大学卒業後、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社にてweb媒体に対するコンサルティング業務全般を担当。2013年より夫のドイツ赴任に2年帯同。帰国後、株式会社博報堂、楽天株式会社にてアシスタント事務を経験。2021年3月に第一子出産の後、7月より夫のドバイ赴任に帯同中。
次なるキャリアに向かって
現在ドバイで帯同生活を送りながら、次のキャリアに向けての一歩を踏み出した濱村さん。2度の帯同経験と子育てによって変化した思いと、これからの目標についてお聞きしました。
やりがいを感じられなかった日々
ー帯同前のキャリアについて教えてください。
学生時代に留学経験があり英語を生かしたいと思い、就活当初は貿易関連や商社を受けましたが、面接を受けていく中で、コミュニケーションをなりわいとする広告業界に興味を持ちました。その中でも、今後はウェブ広告の需要が高くなると考え、ウェブ広告会社に就職しました。業務内容は、担当するウェブサイトの広告枠売上拡大のため、閲覧者の性別や年齢層などから、どのような商品やサービスをターゲットにするかを考え戦略を立てたり、広告枠の商品企画等のコンサルティング業務を担当しました。しかし、職場の同僚には恵まれていたものの、業務内容には楽しさややりがいを見いだす事ができないまま4年間働きました。転職を考え始めていた頃に、パートナーがドイツに転勤になったため、結婚し、退職してドイツに行くことになりました。
帯同先を満喫する秘訣
ードイツではどのような生活を送っていたのですか?
「社会とのつながりのないただの専業主婦」になったことに、多少のモヤモヤを抱えつつも、まずはドイツでしかできないことをやりたいと思い、ドイツ語の語学学校に通いました。多国籍の友達もでき、学校がない日は日本語を学びたいドイツ人と、お互いの言語を教え合うこともしていました。全く知らなかったドイツ語を学んでいく上で、たとえカタコトでも現地の人とドイツ語で話そうとすると相手が心を開いてくれることが多々あり、とても嬉しかったです。帯同期間は2年間と決まっていたので、日本人ではなく、現地の方々との交流を大切にしていました。オクトーバーフェストやクリスマスマーケットに参加したり、サッカーを観戦したり、休暇を利用してヨーロッパや南アフリカ・南米を旅行をしたりとても充実した日々でした。
ーその後、帰国されたのですね。
帰国してからは、子どもが欲しいと考えていたため、勤務時間と業務内容が明確に決まっている派遣社員という働き方を選んで広告会社で営業事務をしました。その後、子育てを考え、お互いの実家がある東京に戻るため、主人が転職し、それに伴い私も転職し、IT企業で自社のブランディングとマーケティングを担当する部署で部長秘書兼事務を1年半程経験しました。そして、子どもを出産し4カ月たったころ、主人の仕事でドバイに移ることになりました。
ードバイでの生活について教えてください。
砂漠のイメージが強いかと思いますが、実はビーチや自然が多く、街には綺麗な高層ビルも建っていて、とても住みやすいところです。まだ新興国を感じる点も多少ありますが、子育てをする上で、ドバイに住んでいる方は非常にフレンドリーで、子どもや母親に対してとても親切に接してくれるなと感じます。ベビー用品も問題なく手に入りますし、公園やショッピングモールに遊び場が充実していて、子育てがしやすい街です。いろいろな国籍の方が住んでいるのも魅力的です。ただ、夏は40度超えの暑さで、湿気もすごいので、これからどうやって子どもと夏を乗り切ろうかなと考えているところです。
ー現在、ドバイではお仕事をされているのですか?
今はしていないですが、これから何か始めたいなと考えています。というのも、子どもを産んでから、自分の子どもに対しては、好きなことを見つけて人生を楽しんでほしいと思うのに、私自身はそれを実現できていないと感じたからです。さらに、最近ドバイには事業が成功し移住してくる人が増えていることと、日本にいる同世代の友達はキャリアを着々と積んでいることを考えると、駐妻としてドバイにいる自分に劣等感や焦燥感を感じました。だからこそ、将来子どもから「お母さんの仕事は何?」と聞かれた時に「これだよ!」と胸を張って答えられるようになりたいと思い、自己分析や起業に関する本を読むようになりました。働き方は雇われることだけではないと気づき、自分のやりたいことを見つけて挑戦したいという思いが強くなり、3月からオンラインのキャリアスクールに通っています。
これからの挑戦
ー今後はどのようなキャリアを考えていらっしゃいますか?
コーチングや子ども服の輸入販売など、漠然と興味があることはあるのですが、まだ本当にそれがやりたいことなのかわからなくて考え中です。まずはやりたいことを明確にして、時間や場所、ライフステージにとらわれないオンラインで完結する仕事を始めたいと考えています。私が、起業してもう一度社会とのつながりを取り戻すことによって、キャリアを諦めてしまった周りの駐妻の方々も、前向きにやりたいことを始められるようになるといいなと思います。
ーこれから駐妻になる方々にメッセージをお願いします。
帯同先での生活を思いきり楽しんでほしいです。日本ではできない経験がたくさんありますし、人や文化、生活や景色も全然違うので、さまざまな価値観を知って、自分の世界が広げられると思います。現地の生活を通して、新しいやりたいことが見つかるかもしれないし、多くのことを吸収してそれが後々のキャリアに良い作用をもたらしてくれるはずです。不安も大きいかと思いますが、帯同によるキャリアの変化をネガティブに捉えず、新たな自分の可能性を見つける機会だと考えて楽しんで過ごしてほしいと思います。
学生ライター感想:
濱村さん自身の今後に対するワクワク感が伝わってきて、新しいことに挑戦するパワフルな姿が印象的で素敵でした。「働き方は雇われることだけではない」という考えを聞き、大変勉強になりました。
取材・執筆:鎌田睦美
津田塾大学2年
校正・文責:三浦梓