私が新卒からフリーランスを選び続けている理由
こんにちは、振井蘭(フリイラン)です!
インタビューシリーズ第2回目はなんと新卒からフリーランスで活躍されている上園海(かみぞのまりん)さんにお話を伺います。私たち駐妻には社会人経験がある方が多いですが、経験が少ない状態からフリーランスってどういうこと?これからフリーランスを検討される方に今回も学び満載です!
上園海(かみぞのまりん)さんプロフィール
沖縄県出身。グラフィックレコーダー。会議や勉強会、カンファレンスなどで起こる「生の場」をイラストと文字を用いてリアルタイムで可視化する仕事。教育系ベンチャーやファシリテーション講座の運営を行う中で、グラフィックレコーディングを独学で習得。聴覚障がいのある学生の横で講義内容を要約する「ノートテイカー」を行なっていた経験が今のグラレコに活きている。池上彰さん講演会や大手芸能事務所、教育分野など多数の現場で活用している。テレビ東京ドキュメンタリー「生きるを伝える」にて、グラフィックレコーディングの第一人者として特集で紹介される。
Twitter: https://twitter.com/_okinawaa
Facebook: https://www.facebook.com/marin.kamizono/about
なぜ新卒でフリーランス?
蘭
お話伺えること、すごく楽しみにしていました!新卒からフリーランスを選ばれたのが、とても印象的で…。なぜ新卒からフリーランスを選ばれたのですか?
海さん
選んだというより気づけばなっていたという印象です。私は大学3年の時にグラフィックレコーダー(※注1、以下、グラレコ)の仕事を始め、大学4年から本格的に仕事として引き受けていたので、フリーランスで働く自分のイメージはありました(※注2)。自分が価値提供ができる方法がグラレコだと思えていたんです。会社に内定もしていたのですが、沖縄出身で「地元のために何かしたい」「そのために武器を身につけたい」という思いがあり、20代をどう過ごすか考えた時、フリーランスが一番自然な選択肢でした。
蘭
正社員という選択肢もあったけれど、フリーランスの方がその時点で自分に向いているという感覚があったんですね。
海さん
会社に入ると時間の使い方や部署異動など、自分の意志で決められないというイメージがあり、抵抗があったんですよね。そして、もしフリーランスで失敗しても、新卒は何も失うものない、ダメだったらどこかに就職しなおそう、という気楽さがありました。むしろ、グラレコのお仕事をもらえるありがたさを感じる中で、それを断ってまで、会社に入りたいのかな?と自分に問いかけたとき、「フリーランスでオリジナリティがある武器を極めたいな」と思ったんです。
蘭
オリジナリティがある武器ですか。自分の武器は何だろう、と悩んでしまいますね。
海さん
見つけるのに、人に褒められた経験が大事かなと思います。私にとってグラレコは息するようにできるんですよね。だれでもできることだと思っていたことが、「すごい!ありがとう」という声をもらって気づくこともあって。そういう声をナチュラルに受け止めていいんじゃないかなって。あと、好きなことで認められた感覚も大事ですよね。私書くことが好きで、あと、自分が書いたものも自画自賛じゃないけど、大好きなんです。大好きになるまで頑張るから。その価値を褒めてもらったら最強の武器になりますよね。
フリーランスの始め方
蘭
フリーランスとしての仕事はどうやって見つけましたか?営業活動などされていましたか?
海さん
最初は知人・友人からの声掛けです。そこから期待にひとつひとつ丁寧に応えていくことで仕事が増えていきました。例えば1,000人ほどマーケターが集まるイベントでお仕事させていただくことがあり参加者の方はグラレコを見て衝撃があったみたいで。当時は活用方法が明確でないからこそ、お客さんからアイデアが広がり声をかけてくださいました。
蘭
なるほど、最初はグラレコがビジネスになる発想はなかったんですね。
海さん
簿記をやっていたので模造紙1枚50円、ペン100円などの原価計算の発想しか自分にはありませんでした。「海さんが書いたグラレコで、1人あたり5分の時間が削減できるとして、それが1万人の社員がいたらどのくらいの効率化になるかを考えてみて」と教えてくださる人や、ありがたいことに見積もりを出したら価格を上げてくださる方がいて、グラレコの価値に気づきました!
蘭
グラレコだけで生活できる自信はありましたか?
海さん
私は大学4年生で沖縄の大学に通いながら東京でグラレコをするために家を借りたんです。大学時代は毎月7万ぐらい、学費を払っていたので、授業料を払い終えたらその分家賃に充てればいいかなぁ、そしたら生活費にはグラレコ月このくらい入ればいいかなぁというざっくりな計算で上京しました。私、出ていくものには意識がいくんですけど、入ってくるものにあまり関心がなくて(笑)でも続けていたらいつか価値になる、と!元々稼ぎが大きくて安定しているビジネスではないのを分かって、自分で選択したものなので、金額そのものに一喜一憂しなくていいと思ってました。そうはいっても最近は知恵がついてきて、営業活動も工夫するようになりましたが。
蘭
例えばどんな工夫ですか?
海さん
誰でもできるのは、お知り合いになった方とSNSで繋がって、自分の仕事の活動状況などこまめにアップするのは大事だと思います。日本だと30代·40代はFacebookが強いので、そこは意識して活用しています。
ぶっちゃけ!フリーランスあるある
蘭
フリーランスのメリット·デメリットは何でしょうか?具体的な経験を交えながら「あるある」を教えてください!
海さん
なりたてほやほやあるあるは、デメリットからになりますけど、初年度は色々合わせて20万円くらいの未請求ミスをしたことがあって。きちんと管理できないとリスクがある、ということですね。事務作業は苦手なのでフリーランスのバックヤードを支援している経理さんを雇っていました。第三者から言ってもらった方がいいこともあるので、経理さんをあえて介すことで、対等な関係をつくることを意識していました。
蘭
苦手分野をカバーしながら強みを発揮できる体制もきちんと整えられていたのですね。メリットはいかがですか?
海さん
一緒に働きたい人、好きな人を選べるということですね。そして好きな仕事も選べる。
蘭
好きなことを選ぶと、スキルが偏るのではないかという不安はなかったですか?会社員だとビジネスパーソンに必要なスキルを包括的に学ぶ機会が提供されることが多いですよね。
海さん
新入社員研修とかをうらやましいなぁと思ったことがあるんですが、一方で研修に頼らなくても「分からないことは自分で調べたり、勉強したりすればカバーできる」という自負もありました。高校時代、暇だったので秘書検定をとったのですが、それが後々生きてきたり。
蘭
暇で秘書検定取得…(笑)すごい、何気なくやってきたことが全部今につながっているんですね。そういう意味だと自分に眠っている人生経験がたくさんあるのかもしれません。
蘭
よく聞くフリーランスあるあるとして、フリーランスは孤独で、誰もほめてくれない。モチベーション管理大変なんじゃないかと思われることも多いと思いますが、いかがですか?
海さん
外からモチベートされる仕組みはいくらでもつくれますよ!SNSに出せばフィードバックがもらえるし、同じようなコミュニティに入るとか、つくってみたものを発表するとか、オンラインサロンとかFacebookグループ、Twitterのタグ、方法はたくさんあります。コロナ時代なので、自分から情報とったり、関係性をつくっていくアクションは大事ですよね。私は「スナックグラレコ」というコミュニティを作って交流できる場づくりをしています。あと自分の成長投資の場として、昔から自分のことをわかっている違う業種の子たちと悩みを共有するのがおもしろいなと。頑張っている人は無限にいるけど、同じベクトルで成長の過程を共有している人ってなかなかいない。アートをやっている子、環境保護の活動をやっている子。枝葉の悩みは違うけど、根本的な悩みは近しいところがあり、刺激しあう関係を築くことで成長を感じられます。
蘭
じゃあ、孤独じゃないんだ!
海さん
そうなんです!フリーランス1年目の時に考え方が大きく変わる出来事がありました。MVPなど表彰の仕組みって会社だとよくあると思うのですが、羨ましいなぁと思っていたんですね。そんな時にPR TIMESさんの社内のイベントに外部ゲストとして呼ばれて、それにとても感動したんです。それまでフリーは孤独、と思っていましたが、フリーだからこそいろいろな関係性を築くことができるんじゃないかとプラスに思えたんです。
蘭
お話を聞いて、海さんは対等で心地いいパートナーシップを結べるお客さまを大事にされているのではないか、と思えてきました。お客さま選びも、同僚のように自分が一緒に働きたい人を選ぶということなんですね。
まとめに代えて〜私がフリーランスを選び続ける理由
蘭
最後に海さんがフリーランスとして働き続ける理由を教えてください。
海さん
これまで会社員にはないメリットをたくさん味わせてもらったと思っています。生活のスタイルが好き・自分のタイミングで頑張れる・好きな人と働ける・自分の強みで価値を発揮している自分が好き。今日ご紹介した色んな要素が自分に合っているなと感じています。フリーランスは働き方の選択肢でしかないので、なりたくてなっているわけでなく、やりたいことを自然体でやれるやり方がたまたまフリーランスだったという感じですね。
蘭
納得です!フリーランスはあくまで自分らしく生きる手段だということですね。海さんにとってそれが一番の手段だったと。会員の皆さんにメッセージをいただけますか?
海さん
まずは小さく始めてみる。後先考えるのも大事だけど、ライターになりたいのだったら文章を書いてみるとか、物をつくりたいのだったら、つくってみるとか、1歩目はそんなに難しくないと思います。そしてそれを思い切って、家族や周りに見せてみる。自分だと「ここがだめだ」と思ってしまって終わるところを、周りはいいところを褒めてくれる。それを素直に受けいれることが大事だと思います!
蘭
とっても勇気づけられました。今日はありがとうございました!
※注1 グラレコとは:場の促進のために、対話や議論をアイコンや文字を活用しながらリアルタイムで可視化するファシリテーション技法のひとつ。
(参考: https://note.com/the_school/n/n20b27a5b79ee)
※注2 海さんの半生についてはこちら:
お金を払ってでもやりたいことを考える。グラレコで活躍する新卒フリーランス上園海 | U-29.com (u-29.com)
お金がないコンプレックスだった私が、時給2万5000円のグラフィックレコーダーになるまで(ハフポスト)
(企画・インタビュー・編集:坂本智子、校正:緒方祥子、デザイン:中山斉奈、監修:秋元かおる、三浦梓)
ー インタビュアー
振井蘭(フリイ ラン)
ブラジル駐在歴1年。中堅自動車メーカー営業企画8年経験後、夫の駐在帯同のため退職(夫も同じ会社)趣味は海外旅行。フリーランスに興味はあるが、手に職がないので二の足を踏んでいる妊活中。
※注 架空の人物です。