【駐妻キャリア総研】元駐妻の再就職状況について Part.1
– 再就職はできる、されど、条件は厳しい –


自分のキャリアも重要だけれど、家族でかけがえのない時間を共有することも大事。一旦キャリアを中断すると復帰するのは難しいのだろうか。。。配偶者の海外転勤に直面した際、このような悩みを抱える方も多いのではないだろうか。
元駐妻の再就職状況を明らかにし、帯同するか否かの判断材料の一つにして頂くため、アンケート調査を実施しましたので、ご報告いたします。(有効回答数:34件)

調査結果概要

  • 一般的な転職と同様、再就職先は3か月以内に決まることが多い
  • 就業形態について帯同前、希望、再就職後で比較すると「正社員」の比率が低下する
  • 給与は減少する場合が多いが、その結果やりがいが下がるわけではない


目次

回答者の属性

回答者を帯同前の就業形態から見ると、最大グループは従業員数1,000人以上の大企業で正社員として就業していた方が3分の2を占める。また、就業に対する意向については、60%近くが「帯同先でも就業したい」と考えており、「帰国したら就業したい」と合わせると97%を占めている。再就職時の年齢は、過半数が30代後半以降である。

以上より、回答者は、帯同前に大企業において、ある程度のキャリアを築いており、就業意欲が高い層であると考えられる。

回答者の属性の詳細はこちらをご覧ください。

再就職における求職期間と就業形態

求職期間について、一般的な転職活動期間は、転職活動開始から1~3か月と言われており、元駐妻の再就職に関しても、求職期間が3か月未満が85%と多数を占める。帯同中は、時差や距離などの障壁はあるものの、キャリアコンサルタントや企業の人事担当者とのオンライン面談も日常となっている現代において、大きな問題にはならないと考えられる。

就業形態について、雇用や収入が安定し、キャリアアップも描きやすい「正社員」に着目した場合、帯同前が9割以上であったが、その数は、再就職の求職中の希望就業形態では若干減少し、再就職時の就業形態としては7割強まで減少している。正社員を希望していながら、正社員としての再就職が叶わなかった例も少数存在している。一方で、非正社員を希望していながら、正社員として採用されたケースも1件のみであるが存在した。

職種と給与とやりがい

仕事のやりがいについて、帯同前と再就職後を比較した場合、「非常に感じている」は増えているものの、「ある程度感じている」を加えると若干減少している。

職種について、「求職活動中に希望していた職種」と「再就職した職種」を比較すると、6割強が希望職種での就職を実現していることがわかる。帯同前の職種を変えて再就職する場合は、ケースは少ないが、帯同中に希望職種に繋がるような経験をし、就職活動においてアピールすることで実現している。

希望職種で再就職したかのYes, Noの場合のそれぞれにおいて、仕事に対するやりがいを見ると、直感と一致することではあるが、希望職種で再就職を実現した場合の方が、仕事に対して高いやりがいを感じていると言える。特に希望が叶わなかった場合は、ネガティブに働いている。

棒グラフ
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給与については、10%以上増加している方も3割程度あるものの、半数近くが10%以上減少と回答している。帯同期間中、退職せずに就業を継続していた場合、回答者の大多数は正社員であったことから、徐々に収入は増加していたと考えられるが、再就職後の収入が10%以上減少しているというアンケート結果は、生涯所得の観点から、厳しい現実を示している。

一方で、給与の変化は、仕事のやりがいに対し、あまり顕著な影響を与えていないと考えられる。

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まとめ

元駐妻の再就職状況について、一言でまとめると、「再就職はできる、されど、条件は厳しい」。ただし、前向きな回答に焦点を当てれば、再就職後も「やりがいを非常に感じている」方、10%以上収入を増やした方も存在する。

そのようになるためには、帯同前にどのような職種を選択するべきなのか、帯同中にどのような活動に取り組むべきなのか。アンケート結果を深掘りすることで、次回はそれらに対する示唆を得ることとしたい。

調査概要

  • 調査手法:WEBアンケート(無記名式)
  • 有効回答者数:34名
  • 調査実施日 :2023年12月16日(土)~2023年12月30日(土)まで
  • 調査対象者 :帯同前に就労していた方で 配偶者の海外勤務・海外留学等を機に退職し、帰国後再就職した方(退職者の再雇用制度を活用した場合も含む)※駐妻キャリアnet非会員も対象