INTERVIEW

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プロフィール:大手監査法人、中小税理士法人、個人会計事務所勤務を経験後、2018年夫のインドネシア赴任に帯同。本帰国後、2020年10月あらゆるライフステージの女性の起業・副業をサポートする税理士事務所を開業。クラウド会計freee専門、チャットメインの会計税務サービスを国内外に提供してスモールビジネスを応援。

会計・税務を軸にキャリアを築くーあらゆるライフステージの女性の相談相手にー

大手監査法人で働いたのち、3回の転職、インドネシアへの帯同を経て、税理士事務所を立ち上げ、あらゆるライフステージの女性の起業・副業をサポートする増田かづささんのお話を伺いました。

女性として長く働けるキャリアを逆算的に

―海外転勤に帯同する前のキャリアについて教えていただけますか?

大学生の頃から女性として自立して楽しく生きていくには、というテーマに興味があり、女性学を勉強していました。4回生の頃、会計士を目指している友人が複数いたこともあり、女性として長く働ける資格として会計士に興味をもちました。

東京の大手監査法人に就職後は、自分の勉強不足を痛感しながらも、優秀な先輩や楽しい同僚に囲まれて何とか毎日の業務を行う日々でした。憧れの女性の先輩もいらっしゃいました。仕事ができて誰にでも思いやりを持って接することが出来る方で、今振り返ると、複数のチームに所属して多種多様なメンバーの近くで仕事ができる環境は自身の成長にもつながり、すごくありがたかったですね。

しかし一方で監査業務はクライアントに直接的に喜んでいただく仕事というよりは経済のインフラ的な側面があり、高度な専門知識の継続的なアップデートも欠かせません。仕事に対する情熱の維持や忙しさを考えると10年20年とやっていけるか難しいと感じるようになりました。ちょうどそのタイミングで結婚が決まり、夫が転勤の多い仕事で当時福岡にいたので、退職して福岡にいきました。

―退職後はどのような生活でしたか?

もう少し規模の小さいビジネスを応援したい気持ちと子どもが欲しい気持ちがあり、そのバランスをとれる仕事という視点で転職先を探しました。ご縁あって中小税理士法人で福岡事務所の立ち上げメンバーになり、なんでも屋さんという感じで時短で勤務しました。2年弱働きましたが、妊活にもう少し本腰をいれようと思う一方、どこかコミュニティに属していたいという気持ちもあったため、個人の会計事務所で週2,3日リモートで働きました。その後妊娠し、夫の転勤で大阪に引越してから出産しました。子どもが1歳過ぎたころには監査のお手伝いをしました。しばらくして東京に引越し2人目を出産、その数か月後にインドネシアの帯同が決まりました。

現地の声を聞いて芽生えた思い

―目まぐるしい数年間ですね…。インドネシアはどうでしたか?

視野を広げてくれるとても良い経験でした。虫の多さはちょっと辛かったですが(笑)世界最大のムスリム国家のインドネシアでは、生活の中で宗教や家庭の優先度がとても高く感じました。また、貧富の差が激しい国ですが、私が出会ったインドネシアのみなさんはおおらかで、感謝や助け合いの気持ちを大切にする方が多かったです。

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娘がインターナショナル幼稚園に通っていたため、親同士の交流で色々な国の方と話すことができたのも刺激的でした。自分の英語が通じなさ過ぎてへこみましたが(笑)キャリアの悩みが万国共通だったり、そうかと思えば全然違う文化や慣習に出会ったり。インドネシアではベビーシッター文化が根付いているので、子育てもしやすかったです。帯同期間の私の優先事項は子育てと家族の安全でしたが、子育てが落ち着いた後には個人の事務所をもちたいと考えており、そのためにできることを進めつつ、ここでしかできない経験を楽しみたいと思っていました。

―その時には事務所をもちたいという気持ちがあったのですね。

帯同期間中に参加した日本人女性のコミュニティでは、帯同をきっかけに退職せざるをえなかった方や本帰国後の復職について知りたいという方が多く、そういった女性を支援したいという気持ちが芽生えていました。税理士はまだまだ男性が多く、平均年齢が60歳以上なんです。女性が起業して仕事をしたいときに今はまだ相談相手を見つけるのが難しく、私が持っているスキルを活かしてお手伝いできることがあるのではないかと考えました。

あらゆるライフステージの女性を応援する

―帰国後と現在のキャリアについてお聞きしてもいいですか?

コロナ禍が始まる直前の2020年1月に本帰国しました。帰国翌日にコンサルタントとして起業しましたが、まずは子どもの学校や新居探しなど日本での新生活を整えることを優先しました。コロナ禍で登録手続や面接に時間がかかりましたが、10月に無事に税理士事務所を開業しました。

残念ながら日本の義務教育では会計税務を学ぶ機会がまだあまりありません。また、税理士というと一見固く近寄りがたいイメージがあります。個人で起業しようと思ったときに相談相手が見つからないという方が多くいらっしゃいます。私自身の経験から、妊娠・育児中の方や帯同中の方を支援したいと思っていたため、気軽に質問ができ、相談してよかったですというお声をいただくことがとても嬉しいですね。あらゆるライフステージの女性を支援できることにやりがいを感じています。

―これからのライフプランについて考えていることはありますか?

今は子育てと家族の時間のバランスをとりながら業務を行っています。女性の起業サポートを続けつつ、今後は日本にいる外国人向けのサービスも増やしていきたいと考えています。

―最後になりますが、増田さんが大切にしている考え方があればお伺いしたいです。

自分がどうしたいのか、何を優先したいのか、ということは常に自分に問いかけ続けたいと思っています。それはその時々で変わっていくものかもしれません。20代の時はこう思っていたけど、30代になったらこれが大事になったという風に。環境や自身の変化に合わせて自分自身と対話する方法をいくつかもっていたいと思います。

もうひとつ偏った環境に身をとどめず、全く別のコミュニティに入ってみて違う文化や価値観に触れ続けることが大切だと思っています。自分の内面と対話することと、外側からの刺激に触れ続けることの両方を大切にしたいと考えています。

学生ライター感想:

会計や税理というひとつのキャリアを軸にもちながら柔軟に生き方を変えている増田さんの姿がとてもかっこよく憧れました。私もひとつ専門性を身につけ、しなやかに生きる人になりたいです。

取材・文:村山彩

筑波大学大学院システム情報工学研究科修士2年 

校正:長崎亜弥香

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